経営戦略の実現に向けて取り組むのは「人」であることから、人財は企業成長の源泉と考えています。ニチレイグループでは長期経営目標「2030年の姿」・マテリアリティの目標達成に向け人財面から取り組む課題についてグループ人財方針(ありたい姿・組織)を策定しています。これらの課題解決に向けて5つの人財戦略を定義し、さらにその戦略を着実に進めるため8つのテーマを設定しました。人事施策の一つひとつが企業価値向上につながる形で設計・実施できるよう今後も取り組みを進めていきます。
「サステナビリティ基本方針」を実現する最重要資産は人財です。
事業を通じた社会課題の解決に共感し、行動する人財の育成 | 「食は人と人とをつなぐ」という発想からニチレイグループが目指す社会的インパクトと社員一人ひとりが抱く志とを結び、主体的に行動する人財を育成します。 |
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多様な知とデジタルを掛け合わせ、新たな価値を創造し続ける組織の構築 | 様々な視点を取り入れ、データ・デジタル技術活用による環境変化に即応した行動により、人びとの豊かな食生活と健康に貢献する組織を構築します。 |
挑戦を促す安全安心な企業文化の醸成 | 仕事への想いや考えを率直に伝えあい、お互いを信じ、受容することで、失敗を恐れずに新たな挑戦ができる企業文化を醸成します。 |
観点 | テーマ | 狙い | ||||||
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1 | ● | 健康保持・増進による従業員パフォーマンス向上 | グループ全従業員が、年齢・性別に関わらず常に心身ともに健康で生き生きと働いている状態を目指して、プレゼンティーイズム・アブセンティーイズムを低減させる施策を推進する。 | |||||
2 | ● | 会社と従業員の相互信頼関係の強化 | 会社と従業員の相互信頼関係(エンゲージメント)と業績は相関関係があることから、エンゲージメントの状態を測定・分析し、課題に対してアクションプラン実行のサイクルを回すことでエンゲージメントの向上を図る。 | |||||
3 | ● | ● | 女性への機会提供と活躍実現 | 意欲のある女性社員の役職・管理職に占める割合の増加と、属性や働くことへの価値観の多様化に伴い、これまでの男性中心の場を見直し、意欲のある従業員の能力を最大限引き出すための施策を展開する。 | ||||
4 | ● | ● | 海外事業推進を支える人財の育成 | 経営目標の達成には海外事業の成長が欠かせないため、海外事業の推進・支援に必要なスキルの取得機会や、海外事業経験を含めたキャリアパスの提供、海外チャレンジを促すなど、海外で活躍できる人財を増強する。 | ||||
5 | ● | ● | デジタル・サステナビリティ関連教育の実践 | これからの新しい時代・社会に求められるベーシックなスキルとして、デジタル・サステナビリティに関する教育機会を提供し、従業員全体の底上げを図ることに加え、意欲のある人に対しさらなる学習機会を提供する。 | ||||
6 | ● | ● | 自立的な学習機会の提供と実践 | 経営施策を推進するために必要な要員規模・スキルの特定と、従業員のスキルを明らかにすることで、従業員自身が過不足を理解し、必要なスキル、知識を自ら学習できるよう仕組みを構築する。加えて、その礎となる自ら学習する企業文化を醸成する。 | ||||
7 | ● | ● | ● | ● | グループ内外から新たな視点を獲得 | 社会課題の解決と事業成長を両立するために、グループ内外の人財と知見の交流を図り、組織の活性化と新たな知見の獲得を促す仕組みを構築し、機会を提供する。 | ||
8 | ● | 法令遵守と安全・安心な労働環境の整備 | 従業員が安全・安心に働ける職場環境、制度の維持向上に、労使が協働して取り組む。 |
ニチレイグループでは、グループ教育訓練規程に則って毎年人財委員会で決定した1年間の教育プログラムを社員へ提供し、各個人のキャリアアップに向け支援しています。また、イントラネットを使い、品質安全やガバナンス・コンプライアンスに関するe-ラーニングを国内の全従業員を対象に実施し、リテラシーの向上を目指しています。
グループ人財委員会とダイバーシティ推進協議会をグループ横断的に組織し、各社が推進している「働きがいの向上」に向けた施策を上記二つの会議体で情報共有し、進捗確認を行っています。
サステナビリティ経営を加速させ、ニチレイグループの持続的な企業価値向上を実現するためには、グループの経営目標を定め、環境変化に迅速に対応しながら、意志決定する経営人財の育成が欠かせません。そのため、次世代の経営人財候補者の拡充・育成にグループ全体で長期的かつ計画的に取り組んでいます。
次世代の経営人財候補者を拡充・育成するために2023年度に明確化した経営人財の要件を基本として、研修や自立的学習による経営に必要な知識の習得、上長者との面談を通じた経営人財としてのマインドセット、長年携わっている事業での経験だけでなく他の事業や海外での業務経験を積むための配置転換など、さまざまな取り組みを実施しています。
海外事業の成長を加速させるためには、事業の推進と管理を担う人財の確保と育成が課題と捉えています。そこで、まずは海外で活躍する人財に必要な要件として、「英会話力」「異文化への関心・理解」「逆境を乗り越えることのできるチャレンジ精神・行動力」などを特定しました。この要件と照らし合わせ、また本人のキャリア志向も踏まえ、海外駐在を含めた計画的な異動・配置を行っています。一方、持株会社が中心となり一部事業会社へも展開しながら人財育成のための研修も実施しています。具体的には、ベースとなる英会話力の向上を図るレベル別の語学研修(選抜・公募)や実際に海外事業に触れることができる実地研修のほか、海外の大学へのMBA派遣を行っています。加えて、2024年度からは異文化の環境のもとで協働していくために必要な異文化理解の研修も新たに実施します。
2025年度入社を対象に持株会社にて外国人留学生の新卒採用活動を進めています。将来的に海外で活躍できる優秀な人財を3名採用することを目指し、さまざまなイベントなどを実施しています。
Nichirei Sacramento Foods Corporation
吉田 梨沙子
国内での食品工場勤務の際、外国籍の同僚とのコミュニケーションをきっかけに価値観の違いを知り、さらに多様な文化にも触れ、自分の考え方を広げたいという想いを抱き、海外勤務を希望しました。現在は、米国の食品工場であるNichirei Sacramento Foods社にて生産計画をメインに、経理や品質保証などにも携わっています。
赴任後に感じた日本・現地の特長は、日本は生産管理体制がいかに緻密かということ、一方で現地は、ポジティブな考え方や進み出すと勢いがあるところです。2つの良さをハイブリッドした体制をつくって工場を良い方向に導く、それが私の役割なのではと感じています。今やりがいに感じていることは、考え方の違いにぶつかりながらも、少しずつ改善を加えてたことで生産性が向上し、トラブルが減ってきているのが実感できる点です。加えて、入社後、早い段階で幅広い領域に関与できていることは、急成長段階にある海外拠点の駐在だからこそできることであり、これからの人生において財産になると感じています。
今後は、一度、日本で専門的な知識をじっくりと学び、それをまた海外に赴任して活かしたい、そんなキャリアを描いています。
これからの新しい時代に対応するため、また経営施策を推進するために必要なスキルを身につけられるよう多彩な学習機会を提供しています。また、研修の受講履歴のほか個々人の各種資格や語学情報などはタレントマネジメントシステムに集約され、海外事業拡大に伴う語学研修の実施など従業員の状況に応じた人事施策を講じることができる仕組みが整っています。
具体的な研修の企画においては、グループ全体および事業会社別でも事業の特性に合わせて行われています。グループ全体の研修に関しては、毎年グループ教育訓練方針を定め、例えばコンプライアンスや個人情報の保護といったガバナンス、法務、品質保証といった多岐にわたる内容のeラーニングを実施しています。さらに2022年度よりDX研修、階層別サステナビリティ研修が始まり、より深堀りした研修も実施しています。
事業会社別としては、年次研修、新任役職者研修に加え、生産部門の海外現地研修など専門性に合わせた研修が行われています。
●教育研修時間/受講者数
2022年度からの中期経営計画「Compass Rose 2024」では、特に重点的に取り組む人財育成施策として、データ・テクノロジー活用をニチレイグループ内で推進しており、個人に即した学習機会の充実を進めています。
データ・テクノロジー活用を推進するデジタルリーダーを本中期経営計画の最終年に国内主要会社の各部署に一人ずつ任命することを目指し、必須のデジタルリテラシーを身につける基礎編であるDXブロンズ、さらに上位のDXシルバー、DXゴールドと、段階を設けたプログラムを実施しています。このうち、DXブロンズについては国内主要会社の社員全員(約4,000人)を対象に2024年度末までに全員が受講完了予定です。DXシルバーからは個人レベルに沿った学習プログラムを提供していきます。
●DX研修から課題を発見し業務改善に着手した事例
DXシルバー研修をきっかけにニチレイグループ独自のデータ分析人財育成プログラムに臨み、実践課題として各センターでの受注~検品業務における時間・件数・リードタイム等の可視化を取り上げました。人手不足への対応や収益力向上に向け業務効率化を進めている中、どこが課題でどんな策が最適かを検討するためには、まず業務の可視化が必要と考えたからです。
研修プログラムでの成果に手ごたえ・実装の必要性を感じ、実際にダッシュボード※のシステム開発を行うこととなりました。2024年4月に運用を開始し、基幹システムのアカウントを持つ約2,000人が分析・利用できるようになりました。分析により、あるセンターでは入出庫登録の手作業と当日入力の多さが業務のボトルネックとなっていることがわかってきています。今後も業務統括部ではダッシュボードの利用・分析を促進し、物流拠点にてボトルネックの発見と的確な業務改善が行えるよう、環境の構築・支援を進めていきます。
ニチレイグループでは、サステナビリティ経営の加速に向け、経営層から全従業員まで、階層別の勉強会や教育研修プログラムを2022年度より実施しています。
目的 | 最新のサステナビリティに関する情報や潮流を学び、経営への影響度を測り、財務・非財務両軸での経営戦略に活かす |
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対象 | 取締役会メンバー(社外取締役、社外監査役、事業会社の経営層、部長職は任意参加) |
サステナビリティ経営、持続可能な調達、ビジネスと人権、気候変動、サーキュラーエコノミー、生物多様性、人財の多様性などのテーマについて、有識者の方に講演を依頼し、学びを深めています。
目的 | ニチレイが目指すサステナビリティ経営を理解し、社会課題の解決を通じた社会的価値と経済的価値の両立の実現を疑似体験してもらうことで、サステナビリティ・マインドセットと行動変容を促すこと |
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対象 | 全役職者(約1,300人) |
ニチレイグループの役職者全員(約1,300人)を対象とした研修を2023年8月から実施しています。グループの資産やマテリアリティなどを組み込んだ独自のオンラインビジネスカードゲーム「One for Future」を通じ、社会的価値と経済的価値の両立に向けての思考を深める研修となっています。各自が所属している事業会社とは別の事業会社の一員として1つのチームを組み、グループの強みや機能を使ってどのような社会課題解決ができるかを考えます。
目的 | 当社のサステナビリティ経営の方向性やマテリアリティとの関係を理解し、自分の業務との関連性やグループで解決できる社会課題について考えてもらいながら、社会課題解決思考を学んでもらうこと |
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対象 | 新入社員、新任役職者 |
ニチレイグループの機能や強みを使い、社会課題を解決しながら社会的価値と経済的価値を両立できる事業モデルについてチームで考えます。
目的 | SDGsや当社事業活動に関係するESGについての基礎知識の習得 |
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対象 | 全従業員 |
SDGsや当社マテリアリティに関連するESG(環境、社会、人権、持続可能な食など)について、グローバルイベントの期間に連動させて実施しています。動画も使うことで、専門用語をわかりやすく学べるようにしています。
eラーニング(テーマ) | グローバルイベント | 受講率 | |||
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2022年度 | 5月 | サーキュラーエコノミー | 5月22日 | 国際生物多様性の日 | 97.1% |
11月 | SDGs 全般 | 11月20日 | 世界子どもの日 | 93.8% | |
12月 | ビジネスと人権 | 12月10日 | 世界人権デー | 93.9% | |
2023年度 | 6月 | 環境(CO2排出量削減) | 6月5日 | 世界環境デー | 93.8% |
7月 | 環境(地球温暖化) | 7月7日 | クールアースデー | 93.1% | |
9月 | SDGs 全般 | 9月25日を含む1週間 | SDGs 週間 | 93.2% | |
12月 | ビジネスと人権 | 12月10日 | 世界人権デー | 94.2% |
目的 | 全従業員がアクセス可能な情報プラットフォーム(イントラネット)。グループのサステナビリティ活動やマテリアリティの進捗を公開するとともに、学びを深めたい個人のためのサステナビリティ・ESG関連コンテンツを掲載 |
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対象 | 全従業員 |
階層別研修プラン | 目的 | 対象 |
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エグゼクティブコーチング | 組織の成長や業績向上に向けて、よりよい経営判断をし、ポジティブな変化を起こしていく(エグゼクティブ自身の変化、周囲への波及効果さらには組織の生産性の向上) | 執行役員 |
次世代経営幹部育成プログラム | 経営人財に必要な「マネジメント力」「グローバルリーダーシップ」に加え、哲学、思想などの大局観の涵養を通じて『意思決定基軸』を構築する | 部長、部付部長 |
リーダー研修 | 【プレイヤーから真のマネジャーへの変革】解決すべき課題を発見し、自ら解決策を創り出していく、強靭で自律的な組織、事業会社から頼りにされる組織づくりの一翼を担う人財の育成 | 役職層 |
評価者研修 | 評価の原理原則を学び、目標管理・評価制度の目的・意義についての理解を深める | 未受講者(新卒・キャリア採用者・転籍者等) |
ファシリテーション研修 | 効率的な会議を実現するために、事前準備から会議運営、フォローまで同一のスキームを理解する | 全員 |
新任役職者研修 | 組織を牽引するマネジャーに求められる役割とその役割遂行にあたり必要とされる視座・視点および言動のポイントを学習する | 新任役職者 |
ファーストキャリア研修 | 組織や上司の期待する成果を正しく把握し、論理的に解決しながら、その期待する成果を創出できる人財になるための基本行動の確立を行う | 新入社員、2年目社員、3年目社員 |
新入社員研修 |
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新入社員、2年目社員、3年目社員 |
ニチレイグループでは、持続可能な成長を実現するため、多様な人財を確保・育成するとともに、それぞれの力を最大限に発揮することができる包摂的な企業風土を醸成していきます。
女性活躍 | • グループ各社の現場で活躍するメンバーによるグループ女性活躍推進プロジェクトの推進 • グループ各社の課題解決の取り組み(女性役職者向け研修、交流ミーティングなど) |
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LGBTQ | • LGBTQ当事者の心理的安全性の確保策として専門家による相談窓口を開設 • 役員向け研修のほか、社内での相談対応準備として人事部門への基礎研修実施 |
シニア活躍 | • 個々人のスキルや経験に応じて再雇用後の職責などを設定し、それぞれの職場で培ったノウハウを活かす |
障がい者雇用 | • 当社グループの特例子会社であるニチレイアウラでは、35名の障がいのあるスタッフが、本社やグループ会社の食品工場や物流センターの事務所内の清掃をはじめ、幅広い業務に従事 |
ニチレイフーズでは2022年にダイバーシティ推進部が発足、「多様な人々が各自の得意技を発揮し、やりがいを感じながら働くことのできる環境の整備」を目標とし、さまざまな活動を行っています。
その中で女性活躍はD&I推進のための重要課題と位置づけており、キャリアを主体的に考えるための機会提供や女性社員同士のネットワークづくり、両立支援のための福利厚生拡充など、各自のライフステージや価値観に寄り添いながら、キャリアアップをかなえるための施策を展開しています。
●女性のためのキャリアアップセミナー 研究開発部・商品開発部門編
女性経営者育成や職種特有のキャリアの悩み解決を目的として、2023年3月に開発部門に所属する管理職・マネジャー職の女性社員に向けたセミナーを開催しました。前半の講演会では商品開発のキャリアを持つ外部の女性役員を講師に招聘、後半はグループワークによる意見交換を実施しました。参加者からは「今後キャリアアップに挑戦することへのイメージが持てた」「女性目線ならではの悩み解決のヒントや前向きな考えが大変参考になった」という声が多く寄せられ、キャリア構築に対する不安の払拭や、成長マインドセットの形成につながりました。
●女性社員プロジェクト「 N-win」による取り組み
2021年に発足した「N-winプロジェクト」ではニチレイフーズで働く従業員の働きがい向上を目的とし、社員アンケートの実施や、アンケートから得られた現場の声に対する取り組みを行っています。2022年度は20代女性社員を対象に全4回の座談会を開催、69名が参加しました。
実施 | 全4回( 11月~2月 各月1回) |
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参加者 | 全20代女性従業員 69名(対象77名)+ 参加者上長 |
パネリスト | 16名(4名× 4 回) 30代中心に各職種・エリアより |
ニチレイロジグループでは、イノベーションの実現に向けDE&Iを最重視しています。DE&Iの推進に大きな影響をもたらすアンコンシャスバイアスについて、女性自らが「女性は家庭にいるもの」「性別により業務遂行能力に差がある」という捉え方をしている状況が見えてきました。物流業界は男性が多いという現状もありますが、ダイバーシティを推進するにあたり女性活躍も引き続き取り組む課題として、ダイバーシティ推進室を中心に施策を進めています。
●女性役職者研修 (2021年度~)
ニチレイロジグループで実施したアンケート結果から、役職登用後に男性は悩むことは少ないが、女性の過半数は何らかの迷いや悩みがあることがわかりました。役職登用により裁量が増えたという前向きな気持ちの女性は4分の1に満たない状況でした。そこで、役職登用された女性向けに、役職者についての考え方・働き方をインプットする研修を開始しました。この研修の重要な点は、上長に対しても職域拡大するための支援ができるようなマインドセットとなるカリキュラムを導入していることです。
上長が研修受講者に伴走しながら研修を進めることで、「女性役職者を育てることができる部署長」の育成をあわせて実施しています。
●女性階層交流ミーティング「WAM」(Woman-Advance-Meeting)(2022年度~)
ニチレイロジグループの特徴として、「物流センターで役職者として働く女性の姿」を見たことがない従業員が多く、役職者として働くキャリアを想像できないという実情があります。そこで、女性役職者としての働き方などを知るきっかけとして、また、拠点を超えたネットワークづくりの場として、2022年度よりWAMを運営しています。年4回の開催で1回当たり60分、役職者2名と一般社員3名の計5名で実施する取り組みです。交流を楽しみながら、キャリアを考える有意義な時間となっています。
ニチレイ・ロジスティクス東海
小牧物流センター 所長
志賀 保代
どちらかというと自ら手を挙げるタイプではなく、「やってみない?」とお話をいただけたことの連続で、現在、2拠点目の所長を拝命しています。今は、15年ほど経験してきた管理部門とは別の保管型センターでの業務となるので、初めて経験することが多い中で所長としてリードしていく、その難しさに日々奮闘しています。その中で実感するのは周囲の支えです。職場には、物流業務全般に精通している方、私にとっての先生が多く、その知識を親身に教えてもらい、また何気ないことでも声をかけてもらっています。
そんな中、管理職、所長として私の役割の一つと感じるのは、現場の声を上げていくことです。物流センターの現場は、事務担当者だけでなく、倉庫内での作業に従事する方などさまざまな業務に携わる方々で構成されています。そうした現場の中で議論を行っていると、いろいろな視点から、今までにない革新的なアイデアが生まれたこともありました。周囲の人が普段から声をかけてくれていたおかげで、話し合いの場でも活発な意見交換ができ、その声を上げることでより良い職場の実現につなげられる手ごたえを感じています。まわりに支えてもらうことも多いですが、今後は女性所長を目指したい方を含め、皆さんの背中を押せるようになっていきたいです。
ニチレイグループが持続的な成長を実現するためには、会社と従業員が相互の信頼関係を深め、多様な人財がミッション・ビジョンに共感し、会社や仕事への貢献意欲をもって活躍することにより、組織としてパフォーマンスを最大限に発揮し続けることが欠かせません。そのため、当社グループでは、従業員エンゲージメント※1の向上を企業価値向上に資する経営課題として位置づけ、サーベイを起点としたサイクルを着実に回すことに注力しています。
2023年度の従業員エンゲージメントスコアの結果は「68」でした。サーベイの結果から、サステナビリティ経営への支持やコンプライアンス、誠実な企業活動に対する意識の高さが確認された一方で、円滑な業務推進体制や経営層と従業員のコミュニケーションに関しては課題があることもわかりました。加えて、タレントマネジメント※2やパフォーマンスマネジメント※3については性別による差異が見られたため、この是正に努めます。
従業員エンゲージメントの向上には、経営陣のコミット、リーダーシップの発揮が不可欠ですが、従業員一人ひとりが自分事として捉え、主体的に関与することも重要であるため、会社と従業員の双方が一体となって課題の改善に取り組んでいます。
ニチレイグループでは、多様な人財や価値観、発想を受け入れ組織を活性化させることで、さらなる生産性の向上や活力ある職場づくりを目指しています。2017年度には「ニチレイグループ 働き方改革方針」を定め、事業会社ごとに同方針に基づく目標を設定し2021年度までの5年間においてさまざまな取り組みを進めました。
「働きがいの向上」を推進する組織として、グループ人財委員会の下にグループダイバーシティ推進協議会とグループ健康推進連絡会を組織し、グループ全体の持続的な成長の実現に資する人財戦略を協議し、施策の意見交換、情報共有、進捗確認を行いました。
一人ひとりが力を発揮し活躍できる環境づくりを目的に、機動的な人事制度設計を推進しています。働きやすい環境と多様な個々人の一層のスキル向上により企業価値を高めていきます。
例えば、育児休業に関する制度では、2022年10月施行の育児・介護休業法改正前から法令で定める内容を上回る形で整備していましたが、改正後は1歳までの育児休業の分割取得など制度がより充実し、選択肢が広がっています。
2023年度の取り組みとして新たに「グループ内副業制度」を導入しました。グループ内の知見や人財の交流を通して新しい価値の創造、そして従業員のスキルアップやキャリア開発の実現につなげることを狙いとしています。
2021年度入社
ニチレイ経理部
加工食品事業経理グループ
梛木 雄登
●グループ内副業制度
以前より人事の仕事に興味があり、副業の募集があった新卒採用業務にチャレンジしました。副業期間が終了し振り返ると、主に2つのスキルを伸ばすことができたのではと考えています。1つ目はコミュニケーション力で、本業の経理業務では社内でのやり取りがほとんどですが、採用業務は学生とコミュニケーションをとっていく必要があり、前提となる知識や考えが異なる相手にどのように話したら伝わるか? ということを考える時間となりました。2つ目は計画性です。本業・副業を両立していくにあたり「いつまでに何をするのか」をあらかじめ明確にし、前倒しできる業務は先に進めるなど工夫して進めることができました。今後のキャリアにおいても、副業を通して強化できたスキルや広がった人脈を活かしながら自身の業務の幅を広げていきたいです。
2022年10月の育児・介護休業法改正に伴い、ニチレイグループでも育児休業規程を改正しました。ニチレイグループの育児休業制度は改正前も法定を上回って整備されていましたが、規程改正の結果、出生時育児休業の新設や1歳までの育児休業の分割取得などの制度がより充実し、育児休業の取得について選択肢が広がりました。
また、ニチレイグループでは労使で協議し、この機会に育児のための休暇・休業に関する目標値として「男性従業員の3日以上取得率100%」※を掲げ、男性が子育てに参画することを契機に女性の活躍の場を拡大し、その結果、男女ともに子育て期のワーク・ライフ・バランスの実現を目指していきます。
ニチレイフレッシュ 調達生産本部
畜産戦略部 マネージャー
松原 夏月
第一子の際は育児休暇を2回に分けて取得し、第二子の際は1回取得しました。知人にも取得している方が多く、出産がわかった際には自然に選択肢に入っていました。実際に経験してみると、想像以上に大変というのが率直な感想ですが、これから長く続く家族の一大プロジェクトである育児を自分事化でき、喜びや悩みなどを妻と同じ目線で話し合っていけることは大きな収穫だったと感じています。
一方、不在期間の対応においては、研究職の性質から個人で進めている内容も多いため、早めに周囲に相談したり、幅広く案件の情報を共有したり、またできる限り育児休暇前に完了させておくなど工夫をしました。これまで男性育休取得の事例がなかった中で取得できたことは、少なからず社内での男性育休取得者増加につながっていると感じ、取得を支えてくれた皆さんに感謝しています。
週末に出かける場所も出産前から変化があり、保育園などで交友関係も広がりました。育児を通して、今までと違った視点が持て、また想定どおりにいかない育児を日々乗り切っていくことで、家庭でも仕事においても対応力が増したと感じています。今後も視野を広げつつ、それを仕事・プライベートに活かし、自己成長につなげていきたいです。
男女ともに子育て期のワーク・ライフ・バランスを実現することを目指し、ニチレイグループの出産・育児に関する休暇・休業の制度を中心にまとめたガイドブックです。仕事と育児の両立支援の流れをはじめ、出産前の準備、出産から復職までの各段階に必要な手続きなどを、女性従業員と男性従業員それぞれに分けて掲載しています。
社員の働きがいを向上させるためには、社員自身のキャリアプランに即した役割を提供することが重要です。当社グループでは年に1度、全社員がキャリアの棚卸を行い将来的なキャリア観を申告し、それを人事異動の参考にしながら異動・配属を決定する「キャリア申告制度」を導入しています。
当社グループの給与は役職や職務によって設定されており、性別による違いはありません。また、昇格や昇給に関する評価についても性別によって違いはありません。
新卒採用については、ホームページ上に募集要領や各種情報を公開し、広く募集を受け付け、公正な選考を行っています。
ニチレイグループは積極的に障がい者雇用を進めています。当社グループの特例子会社である(株)ニチレイアウラでは、35名の障がいのあるスタッフが、本社やグループ会社の食品工場や物流センターの事務所内の清掃や緑地環境整備などをはじめ、幅広い業務に従事しています。これからも、障がい者の皆さんが働きやすい職場環境づくりに取り組んでいきます。
ニチレイグループでは、多様な人財がそれぞれの職場において働きがいを持って活き活きと活躍できるよう、キャリアマップやキャリア向上に向けた教育の機会を提供しています。国内で働いている外国人技能実習生の方にも働きがいを持てる職場づくりに努めています。
食品衛生管理や労働安全衛生など日本で実習したことを母国で活かすため、各事業会社の進出国での職場を紹介し、ご本人のキャリアが継続できるような提案を行っています。
ニチレイフーズは2015年度から2016年度にかけて人事制度を改定し、転居を伴う異動のない職群を設けました。結婚、育児、介護、傷病などの個人事由により、やむを得ず転居を伴う異動ができない場合や、一定の在籍期間を超えた社員については、個人のキャリア観に基づき、事由の有無を問わず本人の希望する勤務地で働き、転居を伴う異動の対象とならない職群を選択することができます。ニチレイフーズでは社員一人ひとりの多様な価値観を尊重し、働きがいのある職場づくりを目指します。
ニチレイグループでは、定年退職後の就業機会提供について2002年から「シニアスタッフ制度」を設置し、定年退職後の就職機会の提供に取り組んでいます。60歳の定年を迎えた後、希望者を65歳まで雇用。現在100名を超えるシニアスタッフがその経験や知識を活かし、グループの発展に寄与しています。
ニチレイバイオサイエンス
品質保証部長
松下 洋久
研究開発職として入社し、その後に研究所が食品と医療品関連に分かれたことで、医療品関連の所属となりました。当時は、新型インフルエンザなどの抗原検査薬キットをゼロから開発して商品化しました。その後、本社に異動して品質保証部に配属され、現在に至ります。当社では今まで行っていなかった診断薬業界組織での活動に10年前から参加し、幾つかの活動ではリーダーをしています。例えば、コンパニオン診断薬における課題を解決する活動においては、医療現場にて混乱をきたさないようにどのように同診断薬が使われるべきかの議論を通じて通知発出に携わったり、また、臨床試験における規制の在り方の活動においては、行政、製薬団体、医療機関などと議論を進めながら、業界の健全な発展と患者さんのよりよい医療環境の実現を目指しています。
2年前に定年を迎えましたが、役割は変わらず業務を行っています。その中で、後任の育成については以前より意識して行っています。先に述べた、当社が業界組織にて活動する基盤をつくれたことは、次の世代につながるものと感じています。後輩には業界での人脈を広げ、業界が今どういう方向に向いているかを感じてもらい、当社はどうあるべきかなど考える機会として、また自分を磨く場として活用してほしいと思っています。
2018年4月、東京都中央区築地の本社ビル内に、企業内保育所を開設しました。
ニチレイグループが現在進めている働き方改革の施策の一つとして、子育て中の従業員の早期復職や仕事と家庭の両立支援を目的としていることに加え、一定枠を地域の方に開放することで、待機児童状況の緩和に貢献したいという考えから設置しました。
ニチレイグループではボランティア休暇制度を通じて、従業員の活動を支援しています。
ニチレイグループでは、従業員をかけがえのない存在と考え、「人材」ではなく「人財」と表記しています。多様な人財や価値観や発想を受け入れ組織を活性化することで、さらなる生産性の向上や活力ある職場づくりを目指しています。2017年には「ニチレイグループ 働き方改革方針」を定め、事業会社ごとに同方針に基づく目標を設定し2021年度までの5年間においてさまざまな取り組みを進めました。
「働きがいの向上」を推進する組織としてグループ人財委員会の下にグループダイバーシティ推進協議会とグループ健康推進連絡会を組織し、グループ全体の持続的な成長の実現に資する人財戦略を協議し、施策の意見交換、情報共有、進捗確認を行いました。
多様な働き方の実現 | 就業における選択肢の拡充 | 働く場所や時間といった就業環境に自由度を持たせた制度を導入し、状況に合わせて選択できるようにする |
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キャリア継続の仕組みを構築 | 出産や育児、介護、配偶者の転勤、健康不安・罹患など、従業員が置かれている様々な状況に係わらず、キャリア分断が起こらない仕組みを構築する | |
長時間労働の是正 | 労使協働で働き方改革に取り組み、従業員一人ひとりが健康で働きがいを持ち、能力がより発揮できる適切な労働時間を実現する | |
公平な機会の提供 | 女性活躍の推進 | 公平に機会・教育の場を提供し、ニチレイグループの貴重な戦力となるよう支援する |
障がい者が活き活きと働く場を提供 | 『障がい者と健常者が分け隔てなく共存する社会(共生社会)の実現』という理念のもと、障がいのある方の働く場や機会を創出し、いきいきと働き、生活していく事を支援する | |
シニア雇用の創出 | 健康寿命が延びる中、シニアならではの経験を活かし、一人ひとりの価値観、働き方に応じた活躍の場を創出する |
方針 | 目指す姿 | 重点施策 | 主な活動 | |||
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2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |||
多様な働き方の実現 | 働く場所や時間といった就業環境に自由度を持たせた制度を導入し、状況にあわせて選択できるようにする | 就業における選択肢の拡充 |
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ロジグループにてサテライトオフィスを拡充
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出産や育児、介護、配偶者の転勤、健康不安・罹患など、従業員が置かれているさまざまな状況にかかわらず、キャリア分断が起こらない仕組みを構築する | キャリア継続の仕組み |
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介護セミナー(オンライン開催)
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長時間労働の是正 | 労使協働で働き方改革に取り組み、従業員一人ひとりが健康で働きがいを持ち、能力がより発揮できる適切な労働時間を実現する | 有給休暇取得の推進 |
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労使協働による過重労働対策の実施継続 平均有給取得率:68.3% |
公平な機会の提供 | 公平に機会・教育の場を提供し、ニチレイグループの貴重な戦力となるよう支援する | 女性活躍推進 |
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ダイバーシティ&インクルージョン |
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『障がい者と健常者が分け隔てなく共存する社会(共生社会)の実現』という理念のもと、障がいのある方の働く場や機会を創出し、活き活きと働き、生活していく事を支援する | 障がい者が活き活きと働く場を提供 |
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健康寿命が延びる中で、シニアならではの経験を活かし、一人ひとりの価値観、働き方に応じた活躍の場を創出する | シニア雇用の創出 |
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