ニチレイグループではグループ環境方針を定め、基本方針を、「卓越した食品と物流のネットワークを備える企業集団として、“食”と“健康”の源である地球の恵みを次世代に引継ぎ、『おいしさ』と『新鮮』を継続してお届けするため、サプライチェーン全体で環境負荷の低減に取り組むとともに、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて持続可能な社会の 実現に貢献していくこと」としています。グループ環境方針では、「気候変動への取り組み」「持続可能な資源循環の推進」「自然との共生」の3つを重点課題としています。「気候変動への取り組み」においては、食品・物流企業として気候変動の影響を大きく受けることを認識しており、以下のように低炭素政策に向けた取り組みを進めています。
当社は国内・海外の各拠点において気候変動緩和・適応に関連する法律や規制(国内の場合は「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」や「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」など)や政策等を支持し、これらの対応を適切に行っています。
気候変動への取り組みは、長期経営目標「2030年の姿」の実現に向けたマテリアリティの一つとしても位置付けており、グループ長期CO₂排出量削減目標の達成に向けて積極的に取り組んでいきます。
●GHG(温室効果ガス)排出量
●CO₂排出量削減目標
2023年度実績 | 2024年度目標 | 2030年度目標 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
国内・海外Scope1,2 (2022年度比) |
ー | ー | △42% | ||||
国内・海外Scope3 (2022年度比) |
ー | ー | △25% | ||||
国内Scope1,2 (2015年度比) |
△30% | △33% | △56%※ |
●2023年度GHG総排出量 3,696千トン-CO₂e(国内・海外)
●ニチレイグループのカテゴリ別Scope3排出量
ニチレイグループのScope3排出量はGHG総排出量の約91%を占め、そのうちカテゴリ1がScope3総量の約87%を占めています。加工食品や水産・畜産製品に用いる原材料やOEM製品などの調達、低温物流事業の委託輸送などを主な排出源として確認しています。
Scope3カテゴリ | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度※ | |
---|---|---|---|---|
No. | カテゴリの説明 | |||
カテゴリ1 | 購入した製品・サービス | 2,724,104 | 2,802,360 | 2,922,918 |
カテゴリ2 | 資本財 | 113,938 | 101,503 | 103,634 |
カテゴリ3 | Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー活動 | 62,828 | 65,438 | 66,566 |
カテゴリ4 | 輸送、配送(上流) | 98,016 | 95,991 | 115,389 |
カテゴリ5 | 事業から出る廃案物 | 2,527 | 2,197 | 2,107 |
カテゴリ6 | 出張 | 505 | 1,563 | 1,235 |
カテゴリ7 | 雇用者の通勤 | 2,400 | 2,541 | 2,626 |
カテゴリ8 | リース資産(上流) | 0 | 0 | 0 |
カテゴリ9 | 輸送、配送(下流) | 3,519 | 3,696 | 10,524 |
カテゴリ10 | 販売した製品の加工 | 33,833 | 37,563 | 76,262 |
カテゴリ11 | 販売した製品の使用 | 9,902 | 11,160 | 18,512 |
カテゴリ12 | 販売した製品の廃棄 | 16,431 | 15,519 | 20,263 |
カテゴリ13 | リース資産(下流) | 6,582 | 6,418 | 6,225 |
カテゴリ14 | フランチャイズ | 算定対象外 | 算定対象外 | 算定対象外 |
カテゴリ15 | 投資 | 算定対象外 | 算定対象外 | 16,931 |
合計 | 3,074,586 | 3,145,951 | 3,363,193 |
●ニチレイグループの国内Scope1,2のCO₂排出量の推移
2023年度までに2015年度比でCO₂排出量30%削減を達成しています。
ニチレイグループでは、使用エネルギーを、CO₂排出量の小さいものへの切り替えを進めています。電力を再生可能エネルギー(CO₂排出ゼロ)へ転換していくとともに、電化や、食品工場の生産ラインで揚げる・焼くなどで使う熱エネルギーをつくるための燃料を、CO₂排出量の小さいものへ転換する取り組みも進めています。
電力の再生可能エネルギー化 | 2023年度は前年比で13ポイント高めることができました。これはニチレイフーズ船橋工場とロジスティクス・ネットワーク船橋物流センターがある船橋日の出エリアで再生可能エネルギーの活用が進んだことが主な要因です |
---|
●電力の再生可能エネルギー実績(%)
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|
5 | 9 | 22 |
ニチレイグループでは、食品工場の敷地内や低温物流倉庫の屋上などへ太陽光発電設備の設置を推進しています。2023年度までに国内の15拠点に設置し、4,268MWhの発電量、ならびに1,842トンのCO₂排出削減量となりました。
また、これらの太陽光パネル設置拠点や日々の発電量などは社内イントラネットで周知し、従業員に再生可能エネルギーやCO₂排出量削減に関心を高めてもらうための情報発信にも取り組んでいます。
●太陽光発電量とCO₂削減量
設置年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
設置拠点 (累計) | 8 | 9 | 10 | 11 | 15 |
発電量 (MWh) | 2,068 | 2,149 | 2,974 | 3,201 | 4,268 |
CO₂排出削減量(トン) | 1,003 | 986 | 1,408 | 1,429 | 1,842 |
●ニチレイグループ太陽光発電設備 設置拠点一覧
ニチレイフーズ | ・船橋工場 ・山形工場 ・ニチレイ・アイス 大泉アイスプラント ・キューレイ |
---|---|
ニチレイロジグループ | ・杉戸物流センター ・松江物流センター ・釧路物流センター ・咲洲物流センター ・東扇島物流センター ・名古屋みなと物流センター ・仙台物流センター ・船橋物流センター ・(株)キョクレイ 大黒物流センター ・(株)キョクレイ 本牧物流センター ・(株)キョクレイ 神戸六甲物流センター |
ニチレイバイオサイエンス | ・グローバルイノベーションセンター |
●オフサイト型コーポレートPPAサービスによる電力供給イメージ
ニチレイグループとして初めて低圧太陽光発電を活用したオフサイト型コーポレートPPAサービスを導入しました。年間約2,000トンのCO₂排出量削減を見込んでいます。今後も関東・関西を中心に導入エリアを拡大し、再生可能エネルギーの調達を進めていきます。
ニチレイグループでは事業所の電力再生可能エネルギー100%の実現にも取り組んでいます。2022年度はニチレイロジグループの太陽光発電設備を設置している2事業所で、FIT非化石証書※1の購入も含めて100%を達成しています。
2023年度はこれに加え、ニチレイグループの主要事業所が集まる船橋市日の出エリア(千葉県)でも、屋上への太陽光発電設備の設置に加えてグリーン電力証書、FIT非化石証書などの再生可能エネルギー調達手法を活用し、電力再生可能エネルギー100%の実現に向けて取り組んでいます。
ニチレイフーズでは2020年3月より、家庭用冷凍食品の一部の商品の製造に使用される電力量や生産工場で使用する総電力量について、グリーン電力証書を購入、または水力発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーに転換しています。2023年春に新設した(株)キューレイの新工場で使用する総電力量については、自社で設置している太陽光発電のほか、バイオマス発電所などからの再生可能エネルギーに切り替えています。
また、2020年度よりニチレイグループ本社ビル(ニチレイ東銀座ビル)で使用する全電力量をグリーン電力証書を活用した再生可能エネルギーに転換しています。加えて、2023年6月に当社が主催したプロゴルフトーナメント「ニチレイレディス」で使用された全電力量をグリーン電力証書でまかないました。
●ニチレイフーズの生産工場における再生可能エネルギーの取り組み
対象工場 | 船橋工場 | 山形工場 | キューレイ | |
---|---|---|---|---|
再生可能エネルギーの調達 | 対象 | 「本格炒め炒飯」で使用する電力量 | 工場全体で使用する総電力量 | 工場全体で使用する総電力量 |
取り組み | グリーン電力証書の購入 | 水力発電所からの再生可能エネルギーに切り替え | バイオマス発電所等からの再生可能エネルギーに切り替え | |
開始年度 | 2020年3月より継続 | 2022年2月より継続 | 2023年4月より継続 | |
太陽光パネルの設置 | 〇 | 〇 | 〇 |
ニチレイロジグループは、2023年2月より「冷蔵・冷凍EVトラック」の運行を開始しました。今回導入した3台の車両は、(株)ロジスティクス・ネットワークが首都圏における配送に活用し、CO₂排出量を削減するとともに、日本では実例の少ない低温EVトラックの運行に関する知見を積み上げ、将来の本格導入への準備を図っています。2023年7月には、東海地区でさらに2台の運行を開始しました。これからも環境負荷低減に取り組み、お客様のサプライチェーンを支える持続可能な物流の実現に努めていきます。
ニチレイグループでは気候変動への取り組みとして、脱フロン化に向け、冷凍設備での自然冷媒機への切り替えを計画的に実施しています。
2030年までにニチレイロジグループの海外拠点含む75%(貸借除く設備トンベース)、ニチレイフーズの国内自営食品工場および投資工場のフリーザーを100%、自然冷媒機への切り替えを実施します。
●自然冷媒化率目標
2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度計画 | 2030年度目標 | |
---|---|---|---|---|
自然冷媒化率 生産設備(国内) |
56% | 63% | 74% | 100% |
自然冷媒化率 低温物流関係(海外を含む) |
53% | 56% | 61% | 75% |
年度 | 工場 / 物流センター | 活用した補助金事業 |
---|---|---|
2013年度 | (株)ロジスティクス・ネットワーク 杉戸物流センター |
「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」 |
2014年度 | ・(株)ニチレイ・ロジスティクス関西 咲洲(さきしま)物流センター ・SCG Nichirei Logistics Co.,Ltd.(タイ) |
― |
2015年度 | ・(株)ロジスティクス・ネットワーク 船橋物流センター8期増設棟 ・(株)ニチレイ・ロジスティクス東海 白鳥物流センター8号館 |
「先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器普及促進事業」 |
2016年度 | ・(株)ニチレイ・ロジスティクス中四国 高松西物流センター2号棟 ・(株)ニチレイ・ロジスティクス東海 春日物流センター2号棟 ・(株)ロジスティクス・ネットワーク 船橋物流センター4期棟および9期棟 |
「先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器普及促進事業」 |
2017年度 | ・(株)ニチレイ・ロジスティクス東北 仙台物流センター1号棟 ・(株)ニチレイ・ロジスティクス東北 盛岡物流センター2号棟 ・(株)ニチレイ・ロジスティクス関東 水戸物流センター1号棟 |
「脱フロン社会構築に向けた業務用冷凍空調機器省エネ化推進事業」 |
2018年度 | ・㈱ニチレイ・ロジスティクス九州 鹿児島埠頭物流センター1号棟 ㈱ニチレイ・ロジスティクス九州 那覇新港物流センター |
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ自然冷媒機器導入加速化事業」 |
2019年度 | <ニチレイロジグループ> ・㈱ニチレイ・ロジスティクス北海道 札幌大谷地物流センター2号棟 ・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 春日物流センター1号棟 ・㈱ニチレイ・ロジスティクス関西 大阪新南港物流センター第1 ・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 名古屋みなと物流センター <ニチレイフーズ> ・㈱ニチレイフーズ 関西工場 |
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ自然冷媒機器導入加速化事業」 |
2020年度 | <ニチレイロジグループ> ・㈱ニチレイ・ロジスティクス関西 梅町物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 宇品物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 松山物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス九州 小倉物流センター ・㈱キョクレイ 本牧物流センター <ニチレイフーズ> ・㈱ニチレイフーズ 山形工場 ・㈱ニチレイフーズ 関西工場 |
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」 |
2021年度 | <ニチレイロジグループ> ・㈱ニチレイ・ロジスティクス東北 仙台物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 小牧物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 三重物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 宇品物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 高松東物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス九州 箱崎埠頭物流センター <ニチレイフーズ> ・㈱ニチレイフーズ 白石工場 |
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」 |
2022年度 | <ニチレイロジグループ> ・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 白鳥物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス北海道 小樽物流センター ・㈱キョクレイ 大黒物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス関西 梅町物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 松山物流センター |
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」 |
2023年度 | <ニチレイロジグループ> ・㈱ニチレイ・ロジスティクス北海道 釧路物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス東北 盛岡物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス関西 高槻物流センター ・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 鳴門物流センター ・㈱ロジスティクス・ネットワーク 杉戸物流センター ・㈱ロジスティクス・ネットワーク 水戸物流センター ・㈱キョクレイ 神戸六甲物流センター(新設) <ニチレイフーズ> ・(株)ニチレイフーズ 船橋工場 ・(株)中冷 |
<ニチレイロジグループ> 「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」 <ニチレイフーズ> 「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」 |
ニチレイグループでは、大型低温物流倉庫や食品工場を保有しています。エネルギー効率の向上に向け、さまざまな取り組みを実施し、エネルギー効率向上を実現しています。これに加え、日常の点検・管理を徹底し、フロン漏洩を抑えています。また、2021年度からは高性能フロン検知器を導入し、定期冷媒漏洩点検を実施して削減に取り組んでいます。
冷凍機の更新 | 圧縮機や冷却器の適切更新 |
---|---|
冷却塔設定の最適化 | 冷凍機高圧抑制、冷却塔運転時間削減 |
暖気侵入防止 | 暖気排出装置設置・ドックシェルターやエアシェルターの適切設置 |
冷媒漏洩の早期発見と早期処置 | 高性能フロン検知器を導入 |
ニチレイロジグループでは冷凍機の冷媒漏洩削減のため、全国のセンターで冷媒漏洩点検の強化を行っています。
2013年度からは、従来の10倍以上の精度を持つ高感度の検知器を導入し、微細な漏れも逃さず見つけられるようになりました。冷媒を漏らさず適正量に管理することで、冷凍機の運転効率を最大に近づけ、無駄な電力を使わないように努めています。さらに非常駐者による点検を加えることで、常駐者だけでは気づきにくい省エネポイントも浮き彫りになり、電力削減につながっています。また、センター全体を省エネの観点で点検する「省エネ点検」も並行して行っており、冷媒以外にもCO₂削減・地球温暖化防止に寄与しています。
2018年9月からは日立製作所と共同で、船橋物流センターにおいて、先端IoT技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と、設備運転・メンテナンスの効率化に向けた共同実証を行っています。エネルギー消費を可視化し、運用改善の分析をすることで、冷蔵設備の高効率運転の支援を可能とし、CO₂を削減していきます。
●共同実証の概念図
2024年6月28日、ニチレイロジグループは、一般社団法人日本物流団体連合会が主催する第25回物流環境大賞で「特別賞」を受賞しました。
●特別賞:株式会社ウオロク、株式会社ロジスティクス・ネットワーク、株式会社シノプスの共同受賞
<受注予測発注システムを活用したリードタイム延長によるCO₂削減>
物流改善の取り組みとして3社協働で需要予測システムを活用し、リードタイム延長による影響を分析・最小化しました。それにより、積載効率・作業生産性を向上、配送車両・待機時間を削減し、CO₂排出量の削減を実現しました。
●特別賞:株式会社ロジスティクス・ネットワーク、ニチレイロジグループ地域各社
<次世代輸配送システム「SULS」(サルス)を活用したCO₂削減>
全国にあるニチレイロジグループの自営拠点と、24枚のパレット積載が可能かつ荷台が切り離し可能な自社冷凍トレーラーを活用した、次世代輸配送システム「SULS」を2022年度より開始しています。トレーラーへの積み置き作業実施による乗務員積込時間や車両待機時間の削減、16枚積みから24枚積みへの変更による効率化を実現し、CO₂削減に貢献しました。
牛、羊などの反芻動物は、エサを分解・消化する際、CO₂の21倍もの温室効果があるメタンガスを胃の中で発生させ、体外に排出することが知られています。地球温暖化防止が世界的な課題となる中、ニチレイフレッシュは、牛が排出するメタンガスの抑制に取り組んでいます。
消化の過程でルーメン(1番目の胃)内の微生物の働きにより生成される水素は、メタン細菌によりメタンガスを生成しゲップとして体外に排出されます。牛にアマニ油脂肪酸カルシウム※1を与えると、ルーメン内の水素は、アマニ油脂肪酸カルシウム中の不飽和脂肪酸と結合して飽和脂肪酸となり、その結果メタンガスの発生が抑制される、という研究成果に着目し、2009年度より国内の農場で交雑種(オスの和牛とメスの乳牛の掛け合わせ)による動物試験を重ねてきました。
これにより、通常の肥育方法に比べて10%以上の環境負荷低減効果があること(2010年京都大学によるライフサイクルアセスメントLCA※2手法による評価)、「オメガバランス」※3が改善されること、増体効果で肥育期間が短くなり飼料コストが抑えられること等が確認され※4、全国各地でアマニ油脂肪酸カルシウムを用いた飼育プログラムで生産した牛肉の販売を展開しています。また交雑種に加え、和牛やホルスタイン種(オス)にも拡大して生産に取り組んでいます。
●メタンガス発生の仕組み
●地球環境に与えるインパクト評価
ニチレイロジグループは、NEXT Logistics Japan株式会社(NLJ)とともに、日本初となるダブル連結トラックによる冷凍品・常温品の同時大量輸送を2021年3月より開始しました。これは、関東と関西のクロスドックと呼ばれる中継拠点間を、常温トラクターと冷凍トレーラーを組み合わせた全長25mダブル連結トラックで運行するものです。
●運行スキーム概要
●従来のトラック2台分の輸送を1回で可能に
ダブル連結トラック運行は、輸配送効率向上によって、これまで深刻だったドライバー不足の課題にも対応できます。冷凍品と常温品を連結させ、ダブル連結トラックで輸送することで、従来トラック2台で運んでいた荷量を1人のドライバーで運ぶことが可能になりました。また、トラクターとトレーラーの脱着作業のみで同時輸送が可能となるため、各クロスドックでの荷役作業や待機時間の削減によるドライバー負荷の大幅な低減も期待できます。
今後は、本運行を通じて、省人化や環境負荷低減などの効果を確認していきます。また、束ねて運ぶ荷種を拡充させ、NEXT Logistics Japan株式会社(NLJ)が構築を進める高効率な幹線輸送スキームをより幅広い荷主や運送事業者も活用できる仕組みへと進化させていく計画です。
ニチレイロジグループは、2003年から輸送手段をトラック輸送から鉄道、船舶に替えて環境負荷を低減するモーダルシフトに取り組んでいます。
北海道から九州までのフェリー輸送について、2009年からルートを変更したことにより、CO₂排出量を30%削減※2しました。ニチレイロジグループの(株)ロジスティクス・ネットワークは、冷凍食品輸送におけるモーダルシフト拡大の実績を評価され、2016年に「第14回モーダルシフト取り組み優良事業者公表・表彰制度」でモーダルシフト最優良事業者賞(大賞)を受賞、2017年には「グリーン物流パートナーシップ物流審議官表彰※3」を受賞しました。ロジスティクス・ネットワークは、調達・在庫管理、配送に至るまで、荷主である顧客企業の全物流を改善・運営する3PL※4事業者として、10年以上にわたってモーダルシフトを推進しています。 単に鉄道やフェリーを利用するだけではなく、複数の荷主を組み合わせた幹線輸送の共同化、需要予測システムを活用した輸送の効率化・平準化など、さまざまな先進的な取り組みを導入してきました。 2017年の受賞は、荷主であるニチレイフーズ、パートナー企業のオーシャントランス(株)、日本通運(株)と共同での受賞となりました。今後も環境負荷低減や労働力不足に対応した持続可能な事業運営を推進していきます。
●総輸送距離の比較
ニチレイロジグループの海外事業は、1988年のオランダ進出から始まり、ニチレイ・ホールディング・オランダB.V.の傘下に、冷蔵倉庫、低温輸送事業を含め13社を保有(2022年10月現在)し、ロッテルダムを中心にそのサービス圏を拡大しています。欧州域内の物流は、インフラが整備され、トラック輸送が中心となっています。近年、環境配慮への取り組みとしてモーダルシフト(Modal Shift)が推進され、トラックによる幹線貨物輸送から大量輸送が可能な海運や鉄道輸送への移行が進んでいます。一般的に、コンテナ船がロッテルダム港に入港すると、コンテナヤードでコンテナを一つひとつ船から降ろし、トラックで倉庫へ運びます。コンテナ船は年々大型化しており、大きい船では40フィート※コンテナを9,000本超積むことができます。これをトラック輸送すると車両9,000台を使用することになり、相当量のCO₂を発生させます。
そこでオランダのヒワ・ロッテルダム・ポート・コールド・ストアーズ社では、CO₂削減のため、バージ船を活用しています。バージ船とは、河川を航行できる運搬船です。同社の倉庫は岸壁に隣接しているため、コンテナヤードから倉庫までの輸送にバージ船を活用し、トラック利用を極限まで少なくしています。バージ船1隻でコンテナ25本を積むことができ、トラック25台で運ぶ場合と比較すると、バージ船1運航当たり約3.5トンのCO₂削減が可能です。現在、ロッテルダム港湾局の専用バージ船2隻にて運営されています。
また、フランスにあるゴドフロア社の運送部門では、環境への取り組みとしてドライバーへのエコドライブ教習を2011年度より導入しました。倉庫部門においては、社会貢献活動として、保管商品で期限切れに近いものを荷主様の了解を得て慈善団体に寄付しています。
CO₂削減の取り組みとして、排出量を減らすとともに、その吸収源を育てていく活動にも取り組んでいます。敷地内の緑地を管理するほか、近隣の方々とともに植林や花植え・草取りなどの活動にも参加しています。