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気候変動(脱炭素・脱フロン)​

方針・基本的な考え方

ニチレイグループではグループ環境方針を定め、基本方針を、「卓越した食品と物流のネットワークを備える企業集団として、“食”と“健康”の源である地球の恵みを次世代に引継ぎ、『おいしさ』と『新鮮』を継続してお届けするため、サプライチェーン全体で環境負荷の低減に取り組むとともに、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて持続可能な社会の 実現に貢献していくこと」としています。グループ環境方針では、「気候変動への取り組み」「持続可能な資源循環の推進」「自然との共生」の3つを重点課題としています。「気候変動への取り組み」においては、食品・物流企業として気候変動の影響を大きく受けることを認識しており、以下のように低炭素政策に向けた取り組みを進めています。

当社は国内・海外の各拠点において気候変動緩和・適応に関連する法律や規制(国内の場合は「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」や「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」など)や政策等を支持し、これらの対応を適切に行っています。

株式会社ニチレイ 経営企画部, 株式会社ニチレイ 品質保証部, 株式会社ニチレイ 技術戦略企画部, 株式会社ニチレイ 経営監査部, 株式会社ニチレイ 事業経営支援部, 株式会社ニチレイ 法務部, 株式会社ニチレイ 人事総務部, 株式会社ニチレイ 財務IR部, 株式会社ニチレイ 経理部, 株式会社ニチレイ サスティナビリティ推進部, 株式会社ニチレイフーズ, 株式会社ニチレイフレッシュ, 株式会社ニチレイロジグループ本社, 株式会社ニチレイバイオサイエンス, 株式会社日立フーズ&ロジスティクスシステムズ, 株式会社ニチレイビジネスパートナーズ

取り組みの状況

グループ長期環境目標と低炭素政策に向けた取り組み

グループ重要事項(マテリアリティ)の一つとして取り組むとともに、グループ長期環境目標としても低炭素政策を実行します。2021年~2030年の10年間で下記3つの施策に積極的に取り組んでいきます。

ニチレイグループは、TCFD提言へ賛同し、以下の低炭素政策を推進する
低炭素政策の柱 概要 対象範囲
1. 長期CO₂排出量削減目標 ・2030年に国内・Scope1・2におけるCO₂排出量を50%削減(2015年度比) 国内 Scope1・2
2. 海外におけるCO₂排出量削減に向けた対応策の推進 ・海外事業所におけるデータ収集等の取り組みを推進
・海外におけるCO₂排出削減に向けた対応策を検討・推進
海外 Scope1・2
3. Scope3におけるCO₂排出量削減に向けた対応策の推進 ・Scope3におけるデータ収集等の取り組みを推進
・Scope3におけるCO₂排出削減に向けた対応策を検討・推進
Scope3
  • ※2021年6月、目標値を30%から50%へ上方修正しました。

GHG(温室効果ガス)排出量

2050年カーボンニュートラル宣言

ニチレイグループのGHG排出量(国内+海外Scope1、2、3)

グラフ

ニチレイグループのカテゴリ別Scope3排出量

ニチレイグループのScope3排出量はGHG総排出量の約90%を占め、そのうちカテゴリ1がScope3総量の約89%を占めています。加工食品や水産・畜産製品に用いる原材料やOEM製品などの調達、低温物流事業の委託輸送などを主な排出源として確認しています。

(トン-CO2e)
Scope3カテゴリ 2021年度 2022年度
No. カテゴリの説明
カテゴリ1 購入した製品・サービス 2,724,104 2,802,360
カテゴリ2 資本財 113,938 101,503
カテゴリ3 Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー活動 62,828 65,438
カテゴリ4 輸送、配送(上流) 98,016 95,991
カテゴリ5 事業から出る廃案物 2,527 2,197
カテゴリ6 出張 505 1,563
カテゴリ7 雇用者の通勤 2,400 2,541
カテゴリ8 リース資産(上流) 0 0
カテゴリ9 輸送、配送(下流) 3,519 3,696
カテゴリ10 販売した製品の加工 33,833 37,563
カテゴリ11 販売した製品の使用 9,902 11,160
カテゴリ12 販売した製品の廃棄 16,431 15,519
カテゴリ13 リース資産(下流) 6,582 6,418
カテゴリ14 フランチャイズ 算定対象外 算定対象外
カテゴリ15 投資 算定対象外 算定対象外
合計 3,074,586 3,145,951
  • ※「統合レポート2022」で公表した2021年度のScope3排出量と比べ約61%増加しています。カテゴリ1の集計範囲を拡大したことが主な理由です。

ニチレイグループの国内Scope1,2のCO2排出量の推移

2022年度までに2015年度比でCO2排出量25%削減を達成しています。

グラフ

太陽光発電の活用

ニチレイグループでは、食品工場の敷地内や低温物流倉庫の屋上などへ太陽光発電設備の設置を推進しています。2022年度までに国内の11拠点に設置し、3,201MWhの発電量、ならびに1,429トンのCO2排出削減量となりました。2023年度はさらに3拠点へ設置を予定しています。
また、これらの太陽光パネル設置拠点や日々の発電量などは社内イントラネットで周知しており、従業員に再生可能エネルギーやCO2排出量削減に関心を高めてもらうための情報発信にも取り組んでいます。

太陽光発電量とCO2削減量

設置年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
設置拠点 (累計) 8 9 10 11
発電量 (MWh) 2,068 2,149 2,974 3,201
CO2排出削減量(トン) 1,003 986 1,408 1,429

ニチレイグループ太陽光発電設備設置拠点一覧

ニチレイフーズ ・船橋工場
・ニチレイ・アイス
・キューレイ
ニチレイロジグループ ・杉戸物流センター
・松江物流センター
・釧路物流センター
・咲洲物流センター
・東扇島物流センター
・(株)キョクレイ 大黒物流センター
・(株)キョクレイ 本牧物流センター
ニチレイバイオサイエンス ・グローバルイノベーションセンター
  • 咲州物流センター咲州物流センター
  • 松江物流センター松江物流センター
  • 釧路物流センター釧路物流センター
事業所の電力再生可能エネルギー100%(電力由来のCO2排出ゼロ)への取り組み

ニチレイグループでは事業所の電力再生可能エネルギー100%の実現にも取り組んでいます。2022年度はニチレイロジグループの太陽光発電設備を設置している2事業所で、FIT非化石証書※1の購入も含めて100%を達成しています。
2023年度はこれに加え、ニチレイグループの主要事業所が集まる船橋市日の出エリア(千葉県)でも、屋上への太陽光発電設備の設置に加えてグリーン電力証書、FIT非化石証書などの再生可能エネルギー調達手法を活用し、電力再生可能エネルギー100%の実現に向けて取り組んでいます。

  • ※1FIT非化石証書(FIT:Feed in Tariff 固定価格買取制度):非化石証書とは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどによって作られた再生可能エネルギーなどの非化石電源の「環境価値」を取引するために証書にしたもので、このうちFIT電源で発電されている電気に対して発行されるものがFIT非化石証書
エネルギー転換

ニチレイグループでは、使用エネルギーを、CO2排出量の小さいものへの切り替えを進めています。電力を再生可能エネルギー(CO2排出ゼロ)へ転換していくとともに、電化や、食品工場の製造ラインで揚げる・焼くなどで使う熱エネルギーをつくるための燃料を、CO2排出量の小さいものへ転換する取り組みも進めています。

冷蔵・冷凍EVトラック運行開始

ニチレイロジグループは、2023年2月より「冷蔵・冷凍EVトラック」の運行を開始しました。今回導入した3台の車両は、(株)ロジスティクス・ネットワークが首都圏における配送に活用し、CO2排出量を削減するとともに、日本では実例の少ない低温EVトラックの運行に関する知見を積み上げ、将来の本格導入への準備を図っています。2023年7月には、東海地区でさらに2台の運行を開始しました。これからも環境負荷低減に取り組み、お客様のサプライチェーンを支える持続可能な物流の実現に努めていきます。

  • 冷蔵・冷凍EVトラック
  • EVトラック出発式
グリーン電力証書の活用

ニチレイフーズでは2020年3月より、家庭用冷凍食品の一部の商品の製造に使用される電力量や生産工場で使用する総電力量について、グリーン電力証書を購入、または水力発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーに転換しています。2023年春に新設した(株)キューレイの新工場で使用する総電力量については、自社で設置している太陽光発電のほか、バイオマス発電所などからの再生可能エネルギーに切り替えています。
また、2020年度よりニチレイグループ本社ビル(ニチレイ東銀座ビル)で使用する全電力量をグリーン電力証書を活用した再生可能エネルギーに転換しています。加えて、2023年6月に当社が主催したプロゴルフトーナメント「ニチレイレディス」で使用された全電力量をグリーン電力証書でまかないました。

ニチレイフーズの生産工場における再生可能エネルギーの取り組み

対象工場 船橋工場 山形工場 キューレイ
再生可能エネルギーの調達 対象 「本格炒め炒飯」で使用する電力量 工場全体で使用する総電力量 工場全体で使用する総電力量
取り組み グリーン電力証書の購入 水力発電所からの再生可能エネルギーに切り替え バイオマス発電所等からの再生可能エネルギーに切り替え
開始年度 2020年3月より継続 2022年2月より継続 2023年4月より継続
太陽光パネルの設置
  • グリーン電力とは、バイオマス・太陽光・風力など再生可能エネルギーでの発電電力のこと。その再生可能エネルギー発電でのCO₂排出量削減分を、電力証書という形で取引すること。
脱フロンへの取り組み ー自然冷媒への切り替え

ニチレイグループでは気候変動への取り組みとして、脱フロン化に向け、冷凍設備での自然冷媒機への切り替えを計画的に実施しています。
2030年までにニチレイロジグループの海外拠点含む75%(貸借除く設備トンベース)、ニチレイフーズの国内自営食品工場および投資工場のフリーザーを100%、自然冷媒機への切り替えを実施します。

  • 自然冷媒冷凍設備(アンモニア)
自然冷媒冷凍設備への更新状況
年度 工場 / 物流センター 活用した補助金事業
2013年度 (株)ロジスティクス・ネットワーク
杉戸物流センター
「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」
2014年度 ・(株)ニチレイ・ロジスティクス関西
咲洲(さきしま)物流センター
・SCG Nichirei Logistics Co.,Ltd.(タイ)
2015年度 ・(株)ロジスティクス・ネットワーク
船橋物流センター8期増設棟
・(株)ニチレイ・ロジスティクス東海
白鳥物流センター8号館
「先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器普及促進事業」
2016年度 ・(株)ニチレイ・ロジスティクス中四国
高松西物流センター2号棟
・(株)ニチレイ・ロジスティクス東海
春日物流センター2号棟
・(株)ロジスティクス・ネットワーク
船橋物流センター4期棟および9期棟
「先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器普及促進事業」
2017年度 ・(株)ニチレイ・ロジスティクス東北
仙台物流センター1号棟
・(株)ニチレイ・ロジスティクス東北
盛岡物流センター2号棟
・(株)ニチレイ・ロジスティクス関東
水戸物流センター1号棟
「脱フロン社会構築に向けた業務用冷凍空調機器省エネ化推進事業」
2018年度 ・㈱ニチレイ・ロジスティクス九州
鹿児島埠頭物流センター1号棟
㈱ニチレイ・ロジスティクス九州 那覇新港物流センター
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ自然冷媒機器導入加速化事業」
2019年度 <ニチレイロジグループ>
・㈱ニチレイ・ロジスティクス北海道 札幌大谷地物流センター2号棟
・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 春日物流センター1号棟
・㈱ニチレイ・ロジスティクス関西 大阪新南港物流センター第1
・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 名古屋みなと物流センター

<ニチレイフーズ>
・㈱ニチレイフーズ 関西工場
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ自然冷媒機器導入加速化事業」
2020年度 <ニチレイロジグループ>
・㈱ニチレイ・ロジスティクス関西 梅町物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 宇品物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 松山物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス九州 小倉物流センター
・㈱キョクレイ 本牧物流センター

<ニチレイフーズ>
・㈱ニチレイフーズ 山形工場
・㈱ニチレイフーズ 関西工場
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」
2021年度 <ニチレイロジグループ>
・㈱ニチレイ・ロジスティクス東北 仙台物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 小牧物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 三重物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 宇品物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 高松東物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス九州 箱崎埠頭物流センター

<ニチレイフーズ>
・㈱ニチレイフーズ 白石工場
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」
2022年度 <ニチレイロジグループ>
・㈱ニチレイ・ロジスティクス東海 白鳥物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス北海道 小樽物流センター
・㈱キョクレイ 大黒物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス関西 梅町物流センター
・㈱ニチレイ・ロジスティクス中四国 松山物流センター
「脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業」
エネルギー効率向上/冷媒漏洩防止

ニチレイグループでは、大型低温物流倉庫や食品工場を保有しています。エネルギー効率の向上に向け、さまざまな取り組みを実施し、エネルギー効率向上を実現しています。これに加え、日常の点検・管理を徹底し、フロン漏洩を抑えています。また、2021年度からは高性能フロン検知器を導入し、定期冷媒漏洩点検を実施して削減に取り組んでいます。

冷凍機の更新 圧縮機や冷却器の適切更新
冷却塔設定の最適化 冷凍機高圧抑制、冷却塔運転時間削減
暖気侵入防止 暖気排出装置設置・ドックシェルターやエアシェルターの適切設置
冷媒漏洩の早期発見と早期処置 高性能フロン検知器を導入
冷媒漏れ防止による効率運転

ニチレイロジグループでは冷凍機の冷媒漏洩削減のため、全国のセンターで冷媒漏洩点検の強化を行っています。
2013年度からは、従来の10倍以上の精度を持つ高感度の検知器を導入し、微細な漏れも逃さず見つけられるようになりました。冷媒を漏らさず適正量に管理することで、冷凍機の運転効率を最大に近づけ、無駄な電力を使わないように努めています。さらに非常駐者による点検を加えることで、常駐者だけでは気づきにくい省エネポイントも浮き彫りになり、電力削減につながっています。また、センター全体を省エネの観点で点検する「省エネ点検」も並行して行っており、冷媒以外にもCO₂削減・地球温暖化防止に寄与しています。
2018年9月からは日立製作所と共同で、船橋物流センターにおいて、先端IoT技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と、設備運転・メンテナンスの効率化に向けた共同実証を行っています。エネルギー消費を可視化し、運用改善の分析をすることで、冷蔵設備の高効率運転の支援を可能とし、CO₂を削減していきます。

  • 冷媒漏れ防止による効率運転

共同実証の概念図

共同実証の概念図

第22回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞における「審査委員会特別賞」受賞

ニチレイロジグループにおいてエンジニアリング事業を担う株式会社ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング(代表取締役社長:井藤勉)は、日刊工業新聞社日刊工業産業研究所が主催する第22回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞において「審査委員会特別賞」受賞しましたので、お知らせ致します。
今回の受賞は、冷媒漏れ予兆診断システムを活用したフロン漏洩削減によるCO₂排出抑制の取り組みについて評価されたもので、2019年9月12日に表彰を受けました。今後も、冷凍設備の保守管理および修繕計画提案といった品質管理、省エネ提案およびローコスト購買によるコスト削減などのトータルサポートサービスの提供により顧客からの要望に応えながら、更なる環境負荷低減を図って参ります。

  • 第22回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞における「審査委員会特別賞」受賞
産地での取り組み 牛のメタンガス排出量抑制のための取り組み(ニチレイフレッシュ)

牛、羊などの反芻動物は、エサを分解・消化する際、CO₂の21倍もの温室効果があるメタンガスを胃の中で発生させ、体外に排出することが知られています。地球温暖化防止が世界的な課題となる中、ニチレイフレッシュは、牛が排出するメタンガスの抑制に取り組んでいます。
消化の過程でルーメン(1番目の胃)内の微生物の働きにより生成される水素は、メタン細菌によりメタンガスを生成しゲップとして体外に排出されます。牛にアマニ油脂肪酸カルシウム※1を与えると、ルーメン内の水素は、アマニ油脂肪酸カルシウム中の不飽和脂肪酸と結合して飽和脂肪酸となり、その結果メタンガスの発生が抑制される、という研究成果に着目し、2009年度より国内の農場で交雑種(オスの和牛とメスの乳牛の掛け合わせ)による動物試験を重ねてきました。
これにより、通常の肥育方法に比べて10%以上の環境負荷低減効果があること(2010年京都大学によるライフサイクルアセスメントLCA※2手法による評価)、「オメガバランス」※3が改善されること、増体効果で肥育期間が短くなり飼料コストが抑えられること等が確認され※4、全国各地でアマニ油脂肪酸カルシウムを用いた飼育プログラムで生産した牛肉の販売を展開しています。また交雑種に加え、和牛やホルスタイン種(オス)にも拡大して生産に取り組んでいます。

メタンガス発生の仕組み

グラフ

地球環境に与えるインパクト評価

グラフ

  • ※1アマニ油脂肪酸カルシウム:α-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)を豊富に含むアマ二の種子から抽出した油とカルシウムを結合させたもの。
  • ※2LCA(Life Cycle Assessment)は原料から製造・物流・廃棄までの製品のライフサイクル全体で発生する環境負荷を総合的に分析・評価する手法。
  • ※3オメガバランス:人の体に必要な必須脂肪酸のなかでも特に重要な「オメガ6系(n6)脂肪酸」と「オメガ3(n3)系脂肪酸」のバランスのこと。
  • ※4「環境負荷低減型でn6/n3比に優れる低コスト牛肉生産技術の開発」茨城県常陸大宮地域農業研究・普及協議会(2011年発行)
ダブル連結トラックによる冷凍品・常温品の同時大量輸送​

ニチレイロジグループは、NEXT Logistics Japan株式会社(NLJ)とともに、日本初となるダブル連結トラックによる冷凍品・常温品の同時大量輸送を2021年3月より開始しました。これは、関東と関西のクロスドックと呼ばれる中継拠点間を、常温トラクターと冷凍トレーラーを組み合わせた全長25mダブル連結トラックで運行するものです。

運行スキーム概要

運行スキーム概要

従来のトラック2台分の輸送を1回で可能に

ダブル連結トラック運行は、輸配送効率向上によって、これまで深刻だったドライバー不足の課題にも対応できます。冷凍品と常温品を連結させ、ダブル連結トラックで輸送することで、従来トラック2台で運んでいた荷量を1人のドライバーで運ぶことが可能になりました。また、トラクターとトレーラーの脱着作業のみで同時輸送が可能となるため、各クロスドックでの荷役作業や待機時間の削減によるドライバー負荷の大幅な低減も期待できます。
今後は、本運行を通じて、省人化や環境負荷低減などの効果を確認していきます。また、束ねて運ぶ荷種を拡充させ、NEXT Logistics Japan株式会社(NLJ)が構築を進める高効率な幹線輸送スキームをより幅広い荷主や運送事業者も活用できる仕組みへと進化させていく計画です。

モーダルシフト※1の推進

ニチレイロジグループは、2003年から輸送手段をトラック輸送から鉄道、船舶に替えて環境負荷を低減するモーダルシフトに取り組んでいます。
北海道から九州までのフェリー輸送について、2009年からルートを変更したことにより、CO₂排出量を30%削減※2しました。ニチレイロジグループの(株)ロジスティクス・ネットワークは、冷凍食品輸送におけるモーダルシフト拡大の実績を評価され、2016年に「第14回モーダルシフト取り組み優良事業者公表・表彰制度」でモーダルシフト最優良事業者賞(大賞)を受賞、2017年には「グリーン物流パートナーシップ物流審議官表彰※3」を受賞しました。ロジスティクス・ネットワークは、調達・在庫管理、配送に至るまで、荷主である顧客企業の全物流を改善・運営する3PL※4事業者として、10年以上にわたってモーダルシフトを推進しています。 単に鉄道やフェリーを利用するだけではなく、複数の荷主を組み合わせた幹線輸送の共同化、需要予測システムを活用した輸送の効率化・平準化など、さまざまな先進的な取り組みを導入してきました。 2017年の受賞は、荷主であるニチレイフーズ、パートナー企業のオーシャントランス(株)、日本通運(株)と共同での受賞となりました。今後も環境負荷低減や労働力不足に対応した持続可能な事業運営を推進していきます。

  • ※1モーダルシフト(modal shift):トラックや航空機による輸送を鉄道や船舶による輸送に転換すること
  • ※2国内でのモーダルシフトにおけるCO₂排出量30%削減は一運行あたりの計測によるものです
  • ※3国土交通省などが実施する、物流分野におけるCO₂削減を促進するための優れた取り組みを表彰する制度
  • ※43PL:Third Party Logistics

総輸送距離の比較

総輸送距離の比較の図説

欧州の物流事業における活動

ニチレイロジグループの海外事業は、1988年のオランダ進出から始まり、ニチレイ・ホールディング・オランダB.V.の傘下に、冷蔵倉庫、低温輸送事業を含め13社を保有(2022年10月現在)し、ロッテルダムを中心にそのサービス圏を拡大しています。欧州域内の物流は、インフラが整備され、トラック輸送が中心となっています。近年、環境配慮への取り組みとしてモーダルシフト(Modal Shift)が推進され、トラックによる幹線貨物輸送から大量輸送が可能な海運や鉄道輸送への移行が進んでいます。一般的に、コンテナ船がロッテルダム港に入港すると、コンテナヤードでコンテナを一つひとつ船から降ろし、トラックで倉庫へ運びます。コンテナ船は年々大型化しており、大きい船では40フィートコンテナを9,000本超積むことができます。これをトラック輸送すると車両9,000台を使用することになり、相当量のCO₂を発生させます。
そこでオランダのヒワ・ロッテルダム・ポート・コールド・ストアーズ社では、CO₂削減のため、バージ船を活用しています。バージ船とは、河川を航行できる運搬船です。同社の倉庫は岸壁に隣接しているため、コンテナヤードから倉庫までの輸送にバージ船を活用し、トラック利用を極限まで少なくしています。バージ船1隻でコンテナ25本を積むことができ、トラック25台で運ぶ場合と比較すると、バージ船1運航当たり約3.5トンのCO₂削減が可能です。現在、ロッテルダム港湾局の専用バージ船2隻にて運営されています。
また、フランスにあるゴドフロア社の運送部門では、環境への取り組みとしてドライバーへのエコドライブ教習を2011年度より導入しました。倉庫部門においては、社会貢献活動として、保管商品で期限切れに近いものを荷主様の了解を得て慈善団体に寄付しています。

  • 40フィート:12.192m
  • ヒワ・ロッテルダム・ポート・コールド・ストアーズ社ヒワ・ロッテルダム・ポート・コールド・
    ストアーズ社
  • バージ船バージ船
緑化の取り組み

CO₂削減の取り組みとして、排出量を減らすとともに、その吸収源を育てていく活動にも取り組んでいます。敷地内の緑地を管理するほか、近隣の方々とともに植林や花植え・草取りなどの活動にも参加しています。

  • 関西工場の緑化関西工場の緑化
  • 関西工場の緑化
株式会社ニチレイ 経営企画部, 株式会社ニチレイ 品質保証部, 株式会社ニチレイ 技術戦略企画部, 株式会社ニチレイ 経営監査部, 株式会社ニチレイ 事業経営支援部, 株式会社ニチレイ 法務部, 株式会社ニチレイ 人事総務部, 株式会社ニチレイ 財務IR部, 株式会社ニチレイ 経理部, 株式会社ニチレイ サスティナビリティ推進部, 株式会社ニチレイフーズ, 株式会社ニチレイフレッシュ, 株式会社ニチレイロジグループ本社, 株式会社ニチレイバイオサイエンス, 株式会社日立フーズ&ロジスティクスシステムズ, 株式会社ニチレイビジネスパートナーズ