当社グループは、「業務の有効性と効率性の向上」「財務報告の信頼性確保」「事業活動に関わる法令等の遵守」「資産の保全」を図るため、内部統制システムを整備・運用していくことが、企業価値の向上につながるものと認識しています。
当社は、会社法に基づく「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務ならびに当該株式会社およびその子会社からなる企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」として、内部統制システムの基本方針を下記のとおり定めていますが、経営環境の変化などに対応するために毎年見直し、改善に努めています。
ニチレイグループは、事業を展開する各国の法令や社会規範を遵守し、倫理性の高い事業活動を推進するために、さまざまな取り組みを行っています。役員・従業員が法令や定款を守り、企業倫理に即して行動するための指針となる「グループ倫理規程」を制定し、ニチレイグループで働くすべての人々が遵守すべき基本的事項を「行動規範」として定め、コンプライアンスの徹底を図っています。「行動規範」には国際的なコンプライアンスの視点で重要と判断される「インサイダー取引の禁止」「反社会的勢力との関与、取引の禁止」など腐敗防止に関する事項も含まれています。 コンプライアンス経営の理念および体制がより浸透するように、役員・従業員を対象としたコンプライアンス研修を実施しています。
当社グループの社内規程は、会社が組織的、効率的に運営されるために必要なルールを明文化したものであり、会社のガバナンスや内部統制上不可欠なものであり、当社グループで働くすべての人が正しく理解し遵守しなければなりません。この考え方に基づき、行動規範の遵守を取締役会が監督しながら、コンプライアンスや腐敗防止の取り組みを全社的に行っています。
具体的には、すべての従業員が法令や定款を守り、企業倫理に即して行動するための指針や具体的な事例を明示した「行動規範」および「行動規範事例集」を作成し、配布しています。また、行動規範等におけるコンプライアンス経営の理念および体制が、社内により浸透するように、行動規範の内容に関する事例集を用いて従業員および新入社員を対象とした研修を実施しています。具体的な事例に基づき行動規範の内容を学ぶことにより、従業員や新入社員のコンプライアンス意識の啓発および周知徹底を図っています。行動規範やコンプライアンスの取り組みについては、その有効性を定期的に評価し、必要に応じて改正・改善を行ってまいります。
法令や定款・社内規程に違反する行為、社会規範上問題のある行為などに関して、従業員からの通報・相談に応じるため、2003年10月に内部通報・相談制度(ニチレイ・ホットライン)を導入しました。2015年度には、コーポレートガバナンス・コードが求める「経営陣から独立した内部通報窓口」に対応した制度改正を行い、監査役や社外役員によるモニタリングおよびチェック機能を導入いたしました。2022年には、同年6月の改正公益通報者保護法の施行に伴い、改正法の趣旨に沿い、政府の指針に準拠してあらためて制度設計を見直しました。通報者保護や守秘義務の強化、通報者の範囲拡大など、対応体制の再整備を行っています。
役員・従業員への制度周知のため、全国の各事業場には周知ポスターを掲出し、「ニチレイ・ホットライン」携帯カードを全役員・従業員に配布しています。ニチレイ・ホットラインで受けつけたすべての通報・相談は、グループ内部通報規程の定めに従い、事務局が事実確認のための調査を行い、必要な場合は是正処置を施しています。通報者は匿名性が確保され、会社や通報の対象となった者などからの報復行為を含む不利益な取り扱いは一切禁止されています。また、通報者が求める場合には事務局からフィードバックを受けることができます。
また、事業の海外展開の加速に伴い、国外の事業拠点における内部通報・相談制度の必要性も高まってきました。各国の個人情報に係る法制などに基づき、適切な制度設計を進めています。2023年度には、東南アジアのタイ・マレーシアで先行し、内部通報・相談窓口を設置しています。
内部通報・相談の対応状況については、定期的に取締役会に報告され、適切に運用されているかモニタリングしています。
ニチレイグループは、役員・従業員の高い倫理観によって、広く社会から信頼され、好感を寄せられる企業として存続・発展していくことを目指しています。コンプライアンス経営の理念および体制がより浸透するように、役員・従業員を対象としたコンプライアンス研修を実施しています。役員・従業員一人ひとりの倫理観の醸成に関しては、行動規範の具体的事例を示した「行動規範事例集」をわかりやすく解説した啓発用スライド「あなたは大丈夫?」シリーズの発行や、各種eラーニングを実施し、コンプライアンスに関する教育・啓発を継続して行っています。そのほか、コンプライアンス監査や内部通報・相談制度などの仕組みを整えています。
ニチレイグループに以前から存在していたポリシーや規程をベースに、海外子会社向けにわかりやすくまとめ直した「ニチレイグループグローバルガバナンス基本規程」を2021年に制定しました。日本と海外では法律や文化が異なり、また、M&Aにより当社グループの一員となった会社にはそれまで築き上げてきた企業風土があることから、各社の自主性を尊重しつつ、ニチレイグループとして一番大事な概念を盛り込んだものが本規程です。日本語、英語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語、タイ語の6言語に対応し、周知・運用を図っています。これにより、「2030年の姿」の一項目である海外売上高比率30%の実現へ向け、海外子会社のガバナンス体制を強化していきます。
ニチレイグループでは、腐敗行為・贈収賄防止指針を定め、グループ全体として腐敗行為・贈収賄防止に取り組むことを対外的に示すとともに、すべての役員・従業員が公務員等に対する贈収賄行為を行わないために遵守すべき
基本的事項を明確にした、贈収賄防止基準および贈収賄防止マニュアルを定めています。これらの基準・マニュアルでは、日本国内の法令以外にも、米国、英国、中国など主要国の法規制の概要を紹介するとともに、Q&A形式で具体的に注意すべき事項を周知しています。
海外子会社に対しては、ニチレイグループグローバルガバナンス基本規程において贈収賄行為の禁止を定めるとともに、各国の適用法令と当社贈収賄防止基準に基づいた従業員向けの周知体制の整備を啓発しています。
2023年度中、贈収賄またはその他の汚職行為で罰せられる従業員はいませんでした。また、贈収賄またはその他の汚職行為に関連する罰金の支払いはありませんでした。
2023年度は、個人情報保護漏えい等に関する問題が1件発生しました。