事業を通じた社会課題の解決 ニチレイフーズ
国内では単身世帯の増加や世帯の少人数化が加速度的に進んでいます。また価値観・ライフスタイルの多様化により同居していても同じタイミングで同じものを食べる食シーンが減少しています。これらを背景として、一人前規格となっているパーソナルユース(個食)へのニーズが高まっています。
また、感染症や平均寿命の伸びなどさまざまな要因から、健康に対する意識の高まりもみられます。健康には多様なテーマが存在しますが、日本国内においてはたんぱく質の不足や塩分の過剰摂取は特に重要な課題となっています。
●世帯構成の推移と見通し
単身世帯、高齢者単身世帯ともに、今後とも増加が予想されている。単身世帯は、2050年で44.3%に達する見込み(全世帯数役5,570万世帯(2020年))。
冷凍食品は保存性や簡便性の価値が認められ、人手不足やフードロスの削減など多様な社会課題の解決に寄与しています。そして現在、ニチレイフーズの強みである「おいしさの再現性」を大切にしながら、パーソナルユースと健康価値を高めた商品の開発に力を入れています。このような価値を組み合わせることで、ニチレイフーズだからこその独自の価値ある商品を生み出し、社会課題の解決が可能となります。
パーソナルユースでは、2022年2月に山形工場に冷凍個食ラインを新設し、麺類やおかず類の商品開発を強化しています。この山形工場での生産を含む2023年度のパーソナルユース商品の売上高は283億円となり、これからの冷凍食品市場を牽引するカテゴリーに成長しています。
健康価値の観点では、自社ECサイトで販売している「きくばりごぜん」などを主として、30年以上積み重ねた栄養成分コントロールの知見と技術を保有しています。この強みを活かし、2024年度よりたんぱく質量の強化で健康価値を高めた新ブランドを立ち上げました。そのほかにも減塩など健康に関わる技術開発も進め、ニチレイフーズらしい健康価値を高めた商品を展開していきます。
●パーソナルユース売上高推移
●山形工場個食ラインを活用した新規商品開発
山形工場の冷凍個食ラインでは、レンジでできる「冷やし中華」や「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」などの麺類を発売し、市場から高い評価をいただいています。商品により最適な麺の粉を配合することや、具材感などの彩り、本格的な香りにまでこだわることで手づくりに代替できるおいしさを再現しています。
また、同ラインは柔軟性も兼ね備えており、主食とおかずをセットにしたワンプレート商品の生産もしています。現在は「三ツ星プレート」シリーズの開発を積極的に進め、着実に市場に定着しています。今後も多様なメニュー開発により市場拡大を図ります。
●おいしく、手軽に栄養素(たんぱく質)をオンする
健康志向の高まりとともに、重要な栄養素の一つであるたんぱく質が注目されています。たんぱく質の目標摂取量は全ての年代で不足している実態があり、近年における日本人の1人一日当たりの摂取量は、1950年代と同水準に低下しています。このような背景を踏まえ、おいしくたんぱく質が摂れる新ブランド「everyONe meal(エブリオンミール)」を2024年度に立ち上げました。このブランドには、一人ひとりのお客様をあらわす「エブリワン」と日常の食事「ミール」を組み合わせ、必要な栄養素をONするメニューをお届けしたいという想いを込めました。自社ECサイトの他、一部の小売店にて販売を開始しています。