事業を通じた社会課題の解決 ニチレイフーズ
鶏肉は唐揚げやチキンソテーなどさまざまな形で食される、日々の食卓で欠かせない食材です。中でも日本で好まれる部位はもも肉ですが、鶏一羽からとれるのは約2割。欧米で好まれるむね肉も同じく約2割です。
一方、骨や羽根などの精肉以外の部位は4割以上を占めており、活用できなければ食品廃棄物が発生してしまいます。大切に育てられた鶏を無駄にしないためには、加工や販路で工夫し、鶏一羽をバランスよく活用することが求められています。
鶏肉の需要が世界的に増加を続ける中、日本は消費量が生産量を大きく上回る世界有数の鶏肉輸入国です。
ニチレイフーズは原料の安定調達を目的に、2008年、タイ大手養鶏加工企業と合弁でGFPT Nichirei (Thailand) Co., Ltd.(以下GFN)を設立。合弁企業のグループ機能も活用し、原料から製品までのフルインテグレーション(完全一貫生産体制)を構築しました。飼料や原種鶏にもこだわった養鶏場より生きた鶏を搬入し、処理・カットを行い、直結されている加工場で加工調理から凍結・包装まで一貫して行うシステムです。
GFNでは安全・安心な原料の安定調達と生産ができることに加え、鶏一羽をさまざまな用途で活用することで基本的に食品廃棄物が出ないようになっています。肉はもちろん、頭部や羽根、血液に至るまで、部位ごとに有効な用途や販路を考え、付加価値をつけて販売しています(下図参照)。例えば羽根は加工して養殖魚の飼料、骨・腸・頭は加工してペットフード原料として販売、モミジは需要旺盛な中国へ販売しています。
製品品質だけでなく、環境や人権への配慮ができているかどうかも重要で、むね肉製品を輸出している欧州では特に重視されています。GFNでは、働きやすい環境づくりやアニマルウェルフェアなどの取り組みに力を入れ、ISO14001などさまざまな国際認証を取得しています。
合弁先グループ機能を活用した原種鶏から養鶏、そしてGFNでの生産までの一貫した安全・安心への取り組みは、日本および海外のお客様から高い評価を得ています。この工場には、原材料を「捨てる」という考え方はなく、資源を無駄なく使い切ることは、食品廃棄物削減だけでなく、環境負荷も低減します。また、付加価値をつけた製品を増やし、事業を拡大することは、地域社会や従業員への還元、雇用確保にもつながります。GFNは今後もさまざまな社会課題に取り組み、持続可能なチキンビジネスを目指していきます。