ニチレイグループでは、データやテクノロジーを活用したビジネス変革活動がDXであり、かつグループ重要事項(マテリアリティ)の実現を支えていくことから、従業員一人ひとりが主役となってDXを推進しています。前中期経営計画では、従業員デジタルリテラシーの向上や人手不足への対応のほか、業務効率化や個別事業での最適化を進めることができました。現中期経営計画ではグローバル視点を取り入れ、社外関係者を含めた最適化に取り組みます。

DX推進組織体制

DX戦略の全体像
DX活動にフォーカスした新たなポータルサイトの立ち上げと、グループの従業員一人ひとりがデジタルリテラシーを習得することを目的としたDX研修を実施し、従業員の意識向上を図るとともに、グループ全体でDXを推進し、既存業務の革新や新規業務の創出、サプライチェーンの課題解決などに寄与します。

価値創造DX
データ・デジタル技術を活用し豊かな食生活と健康寿命の延伸に貢献する新規事業の創生および顧客体験価値の向上の提供を行い、業界を超えた取り組みにより、新たなエコシステム構築、収益化を目指します。
生産・物流DX
IoT・AI・ロボットなどを活用した自動化、工場での生産数量や冷蔵倉庫での入出庫・在庫数量の把握など工場と倉庫を連携させた全体最適化に取り組みます。また、工場・倉庫管理ノウハウを結集した最適な機器運用・保守の実現や複数拠点を俯瞰したコントロールに取り組みます。
サステナビリティDX
調達先などをはじめとしたサプライチェーン全体での関係者のサステナビリティ情報を収集・管理・分析し、持続可能なサプライチェーンの構築に取り組みます。
人財DX
人財活用においては、社内での“適所適材”を進めていきます。あわせて、外部人財との連携を促進することで、業務の効率化に取り組みます。
経営基盤DX
社内外のデータを収集・管理・分析し、価値ある情報に変換したうえでタイムリーに経営に提供し、スピーディーな意思決定を実現します。
DX戦略を実現するIT・DXのプラットフォーム3階層モデル

- 企業、経営、事業で基盤(プラットフォーム)を分け、ニチレイグループ共通で使用するもの、各事業に特化したものに分けることで、最適なITガバナンスと情報セキュリティを強化しつつ、事業会社が主体的にIT・DXを進められるようにしています。さらに、関連コストはTransform、Grow、Runに分類し、Transform、Growへ優先的に資源を振り向けています。
【事業プラットフォーム】事業個別業務システム
【経営プラットフォーム】グループ共通システム

●データ基盤整備とともに進める生成AIやデータの利活用
今までの経験が通用しなくなるほど日々大きく変化する経営・事業環境下では、データを活用した意思決定の高速化が必要とされています。財務情報に加え、年々強化される法令対応のために、環境や人権などのサステナビリティ情報のグローバルでの収集・蓄積・分析・開示が重要となってきています。数値データだけでなく、文書などの情報も含めたデータ基盤の整備を進め、従業員が当たり前に生成AIやデータ類を利活用し、より業務を高度化させていきます。
IT・DX人財、IT・DX研修、DXコミュニティ
ニチレイグループ・各事業所での取り組み
ニチレイグループ専用生成AI 「Nichirei AI Chat」の導入と活用推進

- 2024年2月より、ニチレイグループ全体の業務生産性の向上を目指し、社内用生成AI「Nichirei AI Chat」の本格導入を開始しました。2025年7月時点での利用者数は約2,000人、社内利用率は37%に達しています。「Nichirei AI Chat」は、Microsoft Azure※上の大規模言語モデル(LLM)を活用し、社内情報の安全な取り扱いを確保しながら、文書作成、要約、翻訳など、幅広い業務支援を実現しています。利用開始にあたっては、従業員へ生成AIガイドラインに基づく教育コンテンツの受講を必須とし、リテラシーの向上と安全な運用体制の構築を図っています。導入後は、研修を定期的に開催し、従業員のスキル向上を支援しています。また、専用の社内サイトを設け、使い方のヒント集、活用事例、従業員が作成したプロンプトの紹介などを通じて、生成AIの効果的な活用を促進しています。今後は社内データとの連携をさらに強化し、より高度な業務支援の実現を目指します。「Nichirei AI Chat」をDX戦略の中核的な基盤として位置づけ、従業員一人ひとりの創造性と生産性を支える環境づくりを推進していきます。
- ※Microsoft Corporationが提供するクラウドコンピューティングサービス
自動運転フォークリフト(AGF)を活用した低温物流における業務革新

- ニチレイロジグループでは、業務革新の一環として作業負荷軽減を目指し低温倉庫内を無人で自動運転を行うフォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)の活用に取り組んでいます。
従来、低温環境では霜や結露が発生するためAGFの導入が困難でしたが、2021年6月にニチレイ・ロジスティクス関西 大阪埠頭物流センター(マイナス18℃以下)でレーザー誘導方式のAGFを試験運用させ、フォークリフトメーカーと共同で低温環境対応の部品やセンサー、防錆対策などを施した機器導入などの検証を重ね、低温環境でも安定的に稼働できることを実証できました。
2025年2月には、ニチレイフーズ関西工場併設のニチレイ・ロジスティクス関西 高槻物流センター(5℃)で、工場の生産ラインと連動するAGFの運用を開始しました。センサーが生産ラインから流れてきた商品の到着を検知し、同時にAGFが商品のピックアップ場所まで自動で移動。商品をピックアップした後は、所定の格納先まで自動で動きます。これにより単純な搬送作業時間が約40%削減され、低温環境下における作業者の負担軽減や慢性的な人手不足の解消に寄与すると同時に、削減できた時間は付加価値の高い別の業務へあてることができるようになりました。
今後も、AGFをはじめとした省人化機器と人がそれぞれの特性を活かした運用フローの構築や、他の設備・ロボットとの連動を推進し、全国の拠点での展開を図ることで、持続可能な物流サービスの実現を目指していきます。
スマートファクトリーを通したサステナビリティ経営の実現に向けた取り組み

- ニチレイグループでは、社会的価値と経済的価値の創出を図り、サステナビリティ経営の実現を目指しています。その一環として、ニチレイフーズ、キューレイ米飯新工場では「スマートファクトリー」と名付けた取り組みを進めています。当社の考えるスマートファクトリーとは、「AI・ロボティックス活用による省人化と廃棄量削減」「標準化とITシステム活用による省力化と脱属人化」「データ利活用による改善サイクル高速化」をすべて実現している工場であり、生産現場・生産管理・間接部門が一体となって取り組んでいます。具体的な事例としては、従来は人が行っていた多量の検品作業(コゲの除去)をAIとロボットに置き換えて自動化したことで、従業員の作業負荷を軽減することができました。同時に人の作業と比べ、より正確にコゲ部分のみ除去できるため、食品廃棄量の削減につながっています。また、環境指標の見える化、排熱の有効活用や太陽光パネルの設置、再生可能エネルギーの活用などを推進することで、CO₂排出量も50%削減することができました※。さらに、AIを活用して生産計画を作成することで脱属人化を図るとともに、工場事務所内に居ながら、現場の状況をモニターでリアルタイムに把握できる「コックピット」システムを導入、問題の予兆感知や現場への改善指示が迅速に行えるようになりました。
今後とも、これらの技術を他工場へ横展開をしていくことで、生産効率化、業務改革による新しい働き方の確立と、それに伴う従業員の働きがいの向上につなげていきます。
- ※2022年10月の旧製造ラインと2023年10月の新製造ラインを比較。
ニチレイロジグループの労働環境改善:AGV導入による成果と今後の展望

- ニチレイロジグループは、トラックドライバー2024年問題による労働力不足の解消と作業者の負担軽減を目指し、2021年よりニチレイ・ロジスティクス東北仙台物流センターにて、パレット搬送型AGV(Automated Guided Vehicle)を導入しました。結果として、約1年の熟練スキルが必要だったフォークリフトオペレーターの作業が着任約1ヶ月の新任者でも可能となり、現場作業の「誰でもできる化」が進みました。AGV導入エリアの生産性については、導入後は、1時間当たりの搬送数が約70%増加、フォークリフトオペレーター工数も約23%が減少し、AGV導入による業務効率化が見られました※。継続的なデータ収集とばらつきの抑制により、さらなる改善が見込まれます。
今後の展開としては、他の拠点でもAGVの導入を計画しています。現在のAGV単体での運用から既存設備との連動を目指しています。また、冷凍庫内作業省人化に向けた実証試験を行う予定です。これらの取り組みは、ニチレイロジグループの業務効率化と生産性向上に大いに寄与するものと期待しています。
- ※2023年5月29日~6月4日と2023年6月5日~6月11日を比較。適応する業務フローにより効果に変動あり。