事業を通じた社会課題の解決 ニチレイフーズ
2021年に世界市場で新たに発売されたクリーンラベル※1訴求商品の数は、生活者の食の安全・安心意識の高まりを背景に、2017年比116%と増加しました。今後もこのトレンドは継続が見込まれ、クリーンラベル原料市場の安定的な成長が予測されます。このようなトレンドを受け、天然ビタミンCを多く含むアセロラパウダーを、食品の品質維持などに使用するニーズが拡大しています。
■世界市場におけるクリーンラベルの新商品発売数増加割合(単位:%)
また、主要産地であるブラジルでは貧困問題や教育問題も見受けられます。ニチレイフーズのアセロラ原料ビジネスは、地域の人たちの雇用創出にも寄与しています。
1987年にアセロラドリンクを発売するなど、いち早くアセロラを日本に紹介したニチレイ。1990年にはアセロラ原料ビジネスを本格スタートさせ、1991年ブラジルに子会社の Nichirei do Brasil Agricola Ltda. (以下、ニアグロ)を設立しました。農園や果汁加工施設の運営に直接携わり、欧米にもアセロラ果汁製品の販売を展開しました。
ニアグロでは契約農家に苗木を無料で配布し、社員が直接栽培指導を行うことにより、トレーサビリティが担保された高品質な果実の安定的栽培・収穫が可能になっています。全量買い取りすることで、契約農家の安定収入につながり、栽培スキルの向上も図られています。この取り組みによって、ニチレイフーズは世界中のお客様に高品質な商品を安定的に供給しています。
ニアグロでは、環境に配慮したアセロラ事業を営むとともに、雇用の創出や地域への貢献を通じ、地域社会の発展に貢献しています。
ニアグロは、2023年のエコバディス社によるサステナビリティ調査※2において、評価対象企業全体の上位1%水準相当である最高位の「プラチナ」評価を初めて獲得しました。
ニアグロは、同社サステナビリティ調査の4つの観点「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」についての各種取り組みを継続してきました。2023年の評価では、「労働と人権」に対する継続的な取り組みが特に評価されました。
エコバディス社 | 2016年~2020年 | 2021年・2022年 | 2023年 |
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サステナビリティ調査の評価 | 「シルバー」評価 | 「ゴールド」評価 | 「プラチナ」評価 |
アセロラはブラジルやベトナムなどが主な生産地で、南国の強い日差しに負けないよう、レモン果汁の約34倍という大量の天然ビタミンCを生成します。ただし、アセロラは果実が赤く熟すにつれ天然ビタミンCが減少する特性があるため、より多量に天然ビタミンCを含む「早摘み果実」のうちに収穫してアセロラパウダーへ加工します。現状、天然ビタミンCを豊富に含む食材で、かつ、産業レベルで生産可能な食材はアセロラ以外にはなく、欧州や北米を中心にサプリメントや、製パンや畜肉加工品など、「クリーンラベル原料」として幅広く活用されています。
今後もクリーンラベル原料市場の拡大に伴い、アセロラパウダー需要の高まりが期待されます。
クリーンラベル原料として注目の高まるアセロラパウダーの需要に応えるため、ニアグロでは生産ラインを新設し、2023年6月にアセロラパウダーの生産を開始しました。ニアグロでは、契約農家から買い取りするアセロラ原料のみを取り扱っているため、パウダー原料全量のフルトレースを通じトレーサビリティを担保することが可能です。従来の「アセロラ果汁」に加えて「アセロラパウダー」を新たな事業の柱へと育成していきます。