事業を通じた社会課題の解決 ニチレイロジグループ
1980年代には、都市への人口集中やモータリゼーションの進展とともに、スーパーマーケットをはじめとした小売業のチェーン化が加速するなど、小売業においてドラスティックな構造変化が起こりました。これにより、ジャストインタイムでの納品仕分けや鮮度管理強化の必要性が生じるなど、物流ニーズに大きな変化が生じました。 また、1989年にフランスで開催されたサミット(初の環境サミット)を契機に、トラックによる騒音やCO₂排出、交通渋滞が大きな課題として認識され、流通業界からも物流の効率化が強く求められるようになりました。
1980年代からの小売店や飲食店のチェーン化の進展により、物流倉庫では入出庫や輸配送の頻度が激増しました。そこで、ニチレイロジグループは、商品を保管せず、入庫した商品を短時間で仕分け・配送する通過型物流センター(TC※1)による新たな物流システムを構築。GMS※2や食品スーパー、コンビニエンスストア、外食チェーンなどのさまざまな業態に即したTC事業を1993年から本格的に事業化しました。
ニチレイロジグループのTCは、生鮮三品※3や日配品などのチルド食品を中心にさまざまな小売店や飲食店に商品を配送しています。TCを中継点とするため、従来のようなメーカーや卸から各店舗へ配送するルートと比較して、圧倒的に少ないルート数で小ロット配送が可能になりました。使用するトラック数が抑えられるため、物流コストの削減はもちろん、CO₂排出量の削減や交通渋滞の緩和にも大きく貢献しています。
現在は、約40ヵ所のTCで24時間365日、それぞれのお客様に対してカスタマイズした最適な物流サービスを提供。“駅ナカ”と呼ばれる駅構内に展開する商業スペースや、百貨店の地階にある食料品売り場、いわゆる“デパ地下”への納品代行も行っています。
また、最低限の車両台数でカテゴリ別・棚別に納品されることから、店舗側では検収・陳列などの要員管理が容易となり、軽減された作業人工を本来の顧客サービスへ振り向けることができるメリットもあります。
ニチレイロジグループのTC事業では、PC※4と呼ばれる加工・梱包サービスも展開しています。これは、徹底した温度管理のもとで、畜産品や水産品の加工から計量、パック詰め包装、ラベル貼り、配送までを同一のTC内においてワンストップで提供するものです。
加工作業までを集約することができるため、店舗での作業負担が軽減できるほか、在庫保管スペースの削減も可能となり、店舗の売り場面積の広範囲な確保を実現できます。