Nichirei Group Materiality ニチレイグループの重要事項(マテリアリティ)
重要事項(マテリアリティ)の特定プロセス
検討体制
代表取締役社長をプロジェクトオーナーとし、重要事項(マテリアリティ)と気候変動シナリオの2つのプロジェクトを2019年9月~2020年6月まで同時に立上げ、双方の情報を連携させながら検討を重ねました。重要事項(マテリアリティ)策定プロジェクトは執行役員・経営企画部長がプロジェクトリーダーを担い、取締役会メンバーと執行役員含めた全役員で検討しました。また、気候変動シナリオ検討プロジェクトについては、環境担当管掌役員である取締役執行役員がプロジェクトリーダーを担い、専門家のアドバイスを受けながらTCFDで提唱されているフレームワークに沿って、環境担当部門である技術戦略企画部を中心に各事業会社の経営企画部や環境担当者とともに検討を重ねました。
●5つのマテリアリティと「2030年の姿」の関係図
検討スケジュール
●マテリアリティ策定・気候変動シナリオ検討プロジェクト グランドスケジュール
1ステークホルダーの特定
当社は食の提供を事業領域とし、多くのステークホルダーと関わっています。事業活動自体がステークホルダーの生活や社会へ影響を及ぼすものであり、社会的な責任は大きいと認識しています。そのため、ステークホルダーからの要請度と当社が社会に及ぼす影響度から、ステークホルダーの特定を行いました。
2社会課題(リスクと機会)の抽出
ステークホルダーを選定してから、未来軸・グローバル視点で社会課題を抽出しました。
3社会課題の重要性評価
事業成長を実現する課題を「攻め」、企業価値の毀損を防ぐ課題を「守り」と位置づけ、両軸で、社会課題の重要性評価を実施しました。
4重要課題をマッピング
重要課題を「攻め」と「守り」でマッピングし、2019年11月、経営戦略を議論するグループ戦略会議の場で1回目の審議を実施しました。
- (参考)国連グローバル・コンパクト、国連ビジネスと人権に関する指導原則、OECD多国籍企業ガイドライン、ILO、日本SDGsアクションプラン2019・2020、経済産業省TCFDガイダンス、Society 5.0 等
5素案の作成
「攻め」と「守り」別に素案を作成しました。
6有識者ダイアログ
2019年12月、検討した素案について、社外有識者による妥当性評価および代表取締役社長を含めた社内役員との意見交換を実施しました。
有識者のみなさま
竹ケ原 啓介氏 (株)日本政策投資銀行 |
冨田 秀実氏 ロイドレジスタージャパン(株) |
村上 由美子氏 経済協力開発機構 |
ニチレイグループの出席者
大谷 邦夫 取締役会議長 |
大櫛 顕也 代表取締役社長 |
田口 巧 取締役執行役員 |
金子 義史 取締役執行役員 |
川﨑 順司 取締役執行役員 |
竹永 雅彦 取締役執行役員 |
梅澤 一彦 取締役執行役員 |
武永 正人 執行役員 |
三木 一德(司会進行) 執行役員 |
外部有識者からの意見
今後の方策の粒度
- CO₂排出削減・自然冷媒への切替などを長期視点で、長期戦略として飛躍するために取り組んでいく。
2030年までの時間軸
- 新たな経営課題のゴールとそれを達成するための手段(社内的なマネジメントテーマ)の2つの視点に分ける。
- 「責任ある企業の行動指針」のようなグローバルスタンダードを指針として発信するような方向を検討。
品質保証
- 品質・安全性は、当然ではあるが、経営の最重要課題とすることで違和感がない。
- 現状では、基盤的な項目。攻めの観点で、新たに発生しうるリスクがある場合は、品質管理の強化など、攻めに必要なリスクファクターという位置づけも可能である。
持続可能性
- 持続可能な食料生産では、農業生産性を高めることにより気候変動対応(CO₂削減)にもつながる。
- 低温物流を維持しながら、RE100はないのではないか。各ターゲット項目間の連携を意識するとよい。
- 食品事業はリスクが大きい業種。事業に紐づいた形でブレイクダウンする必要がある。
エシカル
- 日本企業ではまだ、エシカルを大きく打ち出している企業が少なく、競争優位につながる可能性がある。例えば、美味しい瞬間を届けたいエシカルなニチレイなどを打ち出す等。
- マーケティングの観点でエシカルが抜けている。美味しく、世界基準でエシカルであることも世界にメッセージとしてうち出せる。
ニチレイらしさ
- 一般的な加工食品に加えて、低温物流、水産・畜産に関係する重要課題を見える形で出してみてはどうか。
- 低温物流ではニチレイらしさを発揮できるのではないか。良い面も悪い面もあるが、TCFDのフレームの中での取り組みを発信していくとよい。コールドチェーンのリーダーとして、フロンの問題についてもメッセージを発信してはどうか。
7カテゴライズ・統合
有識者からいただいたご意見も加味し、「攻め」と「守り」の重要事項をカテゴライズし統合化を実施しました。
8素案の最終化
2020年2月、2回目の戦略会議の場において、有識者からの妥当性評価やニチレイらしさについてのご意見などを参考に審議を重ね、最終的に5つのマテリアリティ(案)で意見をまとめました。
マテリアリティの特定
2020年6月、代表取締役会長が議長を務める取締役会にて、5つのマテリアリティが特定されました。「気候変動への取り組み」を除く4項目に関するグループ長期目標(施策およびKPI)については引き続き検討してまいります。なお、5つのマテリアリティに関しては事業会社と議論を重ねており、組織プロフィールの策定を通じて、各社の事業戦略に組み込んでいきます。
5つのマテリアリティに込めた想い
マテリアリティ | マテリアリティに込めた思い |
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食と健康における新たな価値の創造 | ニチレイが主要な市場としてきた日本国内は、今後、人口減少に伴う消費の縮小、消費者ニーズの多様化や食・医療のパーソナライズ化など様々な変化が見込まれます。このような環境下においても当社グループが引き続き成長していくために、食と健康という中核領域に立脚しながらも、既存事業の枠にとらわれることなくイノベーションを推進し、新たな市場や顧客価値を創造していきたいと考えます。 |
食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化 | 食の領域におけるニーズの多様化や新たな社会課題の解決に向け、冷凍食品や低温物流への期待は高まっています。AI、IoT、自動運転などの新技術の活用を通じ、コアコンピタンスである「食品加工・生産技術の強化及び低温物流サービスの高度化」を実現し、日本国内はもとよりグローバル市場においても確固たる地位を築いてまいります。 |
持続可能な食の調達と資源循環の実現※1 | 環境や人権に配慮した持続可能な食の調達への取り組みは、当社の事業の根幹であり、顧客価値の提供と当社グループの成長に直結しています。これは同時に、資源を可能な限り循環させる循環型社会の実現と、包括的な事業継続マネジメント(BCM)強化にもつながっていきます。 |
気候変動への取り組み | 世界全体で地球温暖化への対策が求められている中、気候変動の影響を大きく受ける食品・物流企業として、地球温暖化ガスの排出量削減に向けた取り組みを、長期環境目標を制定することで加速させていきます。2030年のCO₂排出量を2015年比で30%※2削減することを目指します。 |
多様な人財の確保と育成 | 当社グループの最も重要な経営資源は「人財」です。基盤である人権尊重、公正な労働慣行、健康・安全の確保はもとより、多様なバックグラウンドを持つ人財がいきいきと働ける職場環境や人事制度の整備・能力開発などを通じて創造力を発揮できる組織風土づくりを進め、新たな価値創造、社会課題の解決につなげていきます。 |
- ※12021年に「持続可能な食の調達と循環型社会の実現」へ改定
- ※22023年11月に、2030年度のCO₂排出量削減目標の見直しを実施し、Scope1,2は2022年度比で42%削減、Scope3は2022年度比で25%削減へと変更。
国内Scope1,2は2022年度比で42%削減とした場合の2015年度比の削減率は56%となる。