ニチレイグループでは、2015年度より「『働きがいの向上』は従業員の健康がベースにある」という考え方のもと、従業員の健康の保持・増進を経営課題として位置づけ、取り組みを推進しています。2024年4月には、専任部署をウェルビーイング経営推進室に改組し、安全衛生や健康経営に加え、ウェルビーイング経営を実現していくために、働きやすさや働きがいの施策を進めています。
ニチレイ健康塾・保健師講話の様子
(小規模事業場にて全員参加型で行われた)
2015年度に健康経営の専任部署として人事総務部内に「健康推進グループ」を新設し、2016年度には、「ニチレイグループ健康宣言」および「グループ健康管理基準」を制定しました。この宣言を社内外に発信するとともに、持株会社に最高健康推進責任者、グループ内の各事業会社に健康推進責任者・担当者を任命し、健康管理を進めています。2024年4月には、専任部署を「ウェルビーイング経営推進室」に改組し、安全衛生や健康経営に加え、ウェルビーイング経営を実現していくために、働きがいや働きやすさの施策を進めています。
2030年に実現したい未来の姿に向けて、健康経営各施策におけるPDCAサイクルを迅速に回し、健康づくりの取り組みを推進していきます。
従業員が年齢・性別に関わらず常に心身共に健康で生き生きと働き、おいしい瞬間を届け続けられる組織を実現することにより、「食と健康における新たな価値の創造」による企業価値向上と社会課題解決を目指します。
豊かな食生活と健康を支える企業として、従業員が、年齢・性別にかかわらず常に心身ともに健康で生き生きと働いている状態を目指しています。アブセンティーイズム・プレゼンティーイズムを低減させる取り組みとして、がん検診などを含む健康診断の事後措置の徹底やメンタルヘルス教育、ヘルスリテラシー向上施策などを実施しています。こうした取り組みが評価され、ニチレイは2020年度、2021年度、2023年度、2025年度に経済産業省と東京証券取引所より「健康経営銘柄」に認定されました。あわせて、経済産業省より優良な健康経営を実践している法人として、「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも制度創設以来9年連続で認定されています。
2024年度実績 | 2025年度目標 | 2030年度目標 | |
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アブセンティーイズム※1 | 3.3日 | 2.6日 | 1.0日 |
プレゼンティーイズム※2 | 79% | 83% | 90% |
2018年度以降、従業員の健康診断受診率は100%を達成しています。また、現役死亡0を目指して有所見者に対する事後措置の徹底に注力し、産業医判定に基づいて保健師がメールやオンラインツールなどを使った面談指導を実施しています。特に就業制限検討値該当者へは、就業規則の改正を踏まえ、定期的な治療確認を必須とし、支援を強化しています。
国内勤務者と同様の健康管理支援が受けられるよう取り組みを強化しています。
●海外赴任者への保健師面談
海外勤務者の健康保持増進のため、Teamsを用いたオンラインによる保健師面談を実施しています。赴任前・帰任時面談に加え、2022年度より赴任中の面談(年1回)も開始し、不調者の早期発見・支援のほか、海外勤務ならではの健康課題の把握に努めています。本人からの健康相談の希望や上長からの依頼も含め、年間約100名に保健師面談を実施しています。
また、2023年度からは、医療職による海外事業所訪問を欧州より開始し、2025年度は東南アジアの事業所を訪問しました。現地では海外駐在員との面談を実施し、健康状態の確認や健康課題のヒアリングを行っています。面談のほかにも職場環境の巡視や現地の生活環境を視察し、把握した健康課題は関係部署と連携しながら、施策へ展開していきます。
ストレスチェックを起点とした「メンタルヘルス総合対策」に取り組み、メンタルヘルス不調への対応だけでなく、職場でのコミュニケーションの活性化等を含めた心の健康づくりを推進します。
2023年度よりニチレイグループのメンタルヘルス教育をセミナーから研修に格上げし、対策を強化しています。
ニチレイグループの高ストレス者率は高い状態が続いており、職場を取り巻く環境も変化する中、役職者がメンタルヘルス不調者に接する機会も多くなっています。そのため、職場の要となる役職者のメンタルヘルスに関するスキルを向上させていくとともに、負荷のかかりやすい自身のメンタルヘルスも大切にしてもらうため、2023年度よりラインケア研修を「COCOサポ育成制度」とし、役職者必須受講の研修としました。COCOサポ研修修了者は2024年度末時点で699名となり、修了者には研修後の実践をふまえた振り返りの場「振り返りtime」を設け、スキルアップだけでなく、研修修了者間のつながりの強化も目指しています。
全国どこの事業場においても同レベルの健康推進サービスを従業員に提供することを目的に、各エリアへ保健師の配置を進めており、2025年度までに、東北、関西、九州、北海道の各エリアに配置を完了しました。2022年度より、首都圏地区事業場へウェルビーイング経営推進室所属の保健師が訪問しています。活動内容は、個別支援では、重症化予防として、健診事後措置D判定者の面談、メンタルのフォローアップとして、高ストレス者や復帰復職者への対応、並びに、生活習慣改善や卒煙などの保健指導を行っています。組織支援では、健康教育として事業場の健康課題に即した社内セミナー(エリア健康塾)の開催や職場巡視等を行っています。
ヘルスリテラシー向上による従業員の心身の健康と生産性向上がもたらす「組織の活性化」を図ることを目的に、「ニチレイ健康塾」と称し、生活習慣病予防や女性の健康、睡眠、筋力低下、深夜業の食事など、従業員が抱える健康課題に対応したテーマでセミナーを開催しています。各セミナー後のアンケートでは、参加者の92%以上が「有益であった」と回答しています。2020年度からは開催方法をオンラインに切替えました。また、ヘルスリテラシーの向上を目的として全従業員を対象としたeラーニングを実施し、2024年度の実施率は95.6%となりました。
2024年度の健診結果では、糖代謝のA・B判定者(健康層)が81%から84.1%に、血圧の健康層は80.9%から81.8%に改善しました。また、多様な人財が生き生きと働ける職場環境や組織風土づくりは経営層が率先して取り組むことが不可欠と考え、2024年2月には経営層向けに「がん対策は経営課題」というタイトルで、がん専門医で東京大学特任教授の中川恵一先生にご講演いただきました。社長をはじめとした経営層、従業員など約130名が参加しました。当社の産業医である中川恵一先生には、がんや健康に関する正しい知識と最新情報に関する動画を、2024年12月より毎月発信いただいています。
豊かな食生活と健康を支える、そのためにはグループ従業員のみならず、サプライヤー・地域社会などステークホルダーの皆様への発信も重要と考えています。サプライヤーへの健康支援の一環として、健康経営に関するセミナーを開催し、参加企業の関心を高めました。また、2024年度からはサプライヤーである運送会社のドライバー向けの研修を開催しています。これらの取り組みにより、社会全体の健康づくりに貢献し、持続可能な社会の実現および企業価値の向上を目指します。
ニチレイグループ従業員が、長期間にわたる治療を必要とする疾患に罹患した場合に、離職せず安心して治療と仕事を両立できる職場環境が整っていることを目指して、「両立相談」「教育啓発」「グループ内連携」の3本柱で施策を進めています。
「両立相談」では、保健師とつながりのある罹患者の方に声がけし、施策に対する意見要望をヒアリングしています。また、2023年5月から「みんなのつぶやき部屋」という従業員の心の声を集めるウェブアンケートの運用を開始し、相互理解のある職場風土醸成の支援を進めています。
「教育啓発」では、これまでに下記の講演会を開催し、社内周知に取り組んでいます。また、経営層からのメッセージ動画を用いたeラーニングを実施することにより、職場環境の整備はニチレイグループ全体の取り組みであることを学ぶ機会としています。
2023年2月 | 東京大学大学院 医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授 中川恵一先生 | がん対策は経営課題(※役員を対象に開催) | 139名参加 |
2023年2月 | タレント 原千晶氏 | 2度の子宮がんを経験して | 46名参加 |
2023年5月 | 東京大学大学院 医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授 中川恵一先生 | 大人も子どももがんを知る | 76名参加 |
2023年8月 | 一般社団法人がんと働く応援団 代表理事 吉田ゆり氏 | 知って備える 働く世代のがんセミナー | 59名参加 |
2023年11月 | フリーアナウンサー 笠井信輔氏 | 「生きる力」がん“ステージ4”からの生還 | 71名参加 |
2024年2月 | 聖路加国際病院 相談支援センター AYAサバイバーシップセンター 看護師 橋本久美子先生 | 病院の治療と仕事の両立支援~病気になる前に知っておくこと~ | 43名参加 |
2024年8月 | がん研究会有明病院 升田茉莉子先生 | 仕事をあきらめないで! | 47名参加 |
2024年10月 | タレント 麻木久仁子氏 | ピンクリボンセミナー | 95名参加 |
がんをはじめとした病気を自分事として捉え、正しく知り、よりよい職場環境について考える機会を提供しています。
そのほかにも、社内掲示板などにより正しく、信頼できる情報発信を心がけています。
「女性の健康づくり」の施策を推進するため、2022年1月に全従業員へアンケートを実施。その結果から「女性特有の健康課題で困っている」女性従業員と「困っていることに気づいていない」男性管理職が多数いることが分かりました。その結果をもとに従業員のヘルスリテラシー向上のためにセミナーの継続開催を行っています。また、オンライン診療プログラムや独自休暇制度の導入、定期的な全体調査の実施により、体調改善に努められるような職場環境づくりを推進しています。
●体制整備:女性の健康づくり 方針
<ヘルスケア休暇>
2024年4月より、PMS・月経・更年期症状により、著しく就業が困難な者が取得可能。
<女性の健康課題と職場環境に関するアンケート>
年1回実施 1,898名回答(2024年)
●教育・啓発:セミナーの定期開催
月経編 年4回実施 のべ48名参加(2024年)
更年期編 年4回実施 のべ138名参加(2024年)
妊活編 40名参加(2024年)
産婦人科医宋美玄先生による役員向けセミナー 135名参加(2024年)
女性の健康 eラーニング 年1回実施 実施率95.7%(2024年)
●支援
2022年度 月経・女性更年期オンライン診療プログラム導入
2023年度 妊活・不妊治療相談プログラム導入
2025年度 男性更年期プログラムトライアル実施
2022年4月より就業時間内禁煙を開始、2023年3月末に屋内喫煙室を廃止しました。2025年10月からは就業時間内禁煙を規程化しました。
全従業員に向けては受動喫煙対策eラーニングを実施し、教育啓発に取り組んでいます。
また、希望者へはニチレイ健康保険組合による卒煙プログラムを提供し、卒煙支援に取り組んでいます。
卒煙プログラムおよび禁煙外来補助には2024年度末までに128名が参加し、その内45名が禁煙に成功しました。
従業員一人ひとりが健康意識を高め、主体的に健康増進に取り組む環境づくりをめざして健康白書、健康経営ガイドブック(国内全従業員対象、2020年7月初版、2022年10月第二版)を発行しています。