ニチレイグループは、持株会社体制のもと、事業会社が加工食品、水産・畜産、低温物流およびバイオサイエンスなどの多岐にわたる事業を展開しています。当社の取締役会が当社グループの戦略を立案し、事業会社の業務執行を監督するという構造を採り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。
持株会社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則に照らし、公正かつ透明性の高い経営の実現を重要な経営課題と認識し、取締役会の監督のもと、適切な資源配分、意思決定の迅速化、コンプライアンスの徹底を推進するなど、コーポレートガバナンスの充実に努めています。
また、会社法上の機関設計として監査役会設置会社を採用しています。
■コーポレートガバナンス体制
■ニチレイグループのコーポレートガバナンス体制強化の変遷
構成 | 取締役10名(うち社外取締役4名) |
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2022年度 開催実績 |
全19回 |
実施内容 | 当社グループの戦略立案および事業会社の業務執行を監督することを通じて、グループの適切な資源配分、意思決定の迅速化、コンプライアンスの徹底を推進しています。年2回開催されるグループ戦略会議の審議を経たうえで当社グループの戦略を策定、承認し、四半期ごとにグループ各事業の実行状況を確認するとともに、業務執行取締役および執行役員に対する実効性の高い監督を行います。 |
当社の取締役会は、当社グループの戦略を立案し、事業会社の業務執行を監督するという構造をとり、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しています。2022年度の具体的な審議内容としては、下記のとおりです。
経営戦略 | ニチレイグループ重要事項(マテリアリティ)のKPIの設定およびその実現に向けた課題 |
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中期経営計画 | 中期経営計画「Compass Rose 2024」の進捗と課題 |
サステナビリティ | グループ人財方針、ニチレイグループ持続可能な水産物・パーム油の調達ガイドラインの策定およびその推進と課題 |
ガバナンス | モニタリング・モデルを志向した取締役会のあり方およびその実現に向けた取締役会規程・付議基準の見直し |
事業戦略 | 重要な国内・海外投資案件における経営戦略上の課題 |
構成 | 監査役5名(うち社外監査役3名) |
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2022年度 開催実績 |
全16回 |
実施内容 | 取締役会から独立した機関として、毎期の監査方針・監査計画などに従い、取締役、内部監査部門経営監査部をはじめとする持株会社各部門などと意思疎通を図り、情報の収集および監査の環境の整備に努めています。 |
委員会 | 役割 | 委員長 | 2022年度開催実績 |
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指名諮問委員会 | 経営陣幹部および取締役・監査役の候補者として適切な人財や後継者育成計画などについて、審議のうえ取締役会へ答申する。 | 社外取締役 昌子 久仁子 |
8回 |
報酬諮問委員会 | 報酬制度、報酬水準、報酬の妥当性などについて、審議のうえ取締役会へ答申する。 | 社外取締役 濱島 健爾 |
5回 |
取締役の員数を11名以内とし、経営環境の変化に対する機動性を高めるため任期を1年と定めています。取締役の選任決議は、議決権を行使できる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行います。なお、透明性向上と監督機能強化のため、現行取締役10名のうち社外取締役を3名選任しており、毎月1回以上の取締役会を開催しています。取締役会議長は代表取締役会長で、執行役員を兼務しています。代表取締役会長と代表取締役社長は、共同でグループ全体の業務執行を統括しています。
当社は監査役制度を採用しており、監査役5名のうち金融機関経験者1名、法曹界より弁護士1名、行政機関経験者1名の合計3名を社外監査役として選任しています。監査役会は原則月1回開催され、必要に応じて随時開催しています。業務執行に対する監査役の監督機能を充分果たせる仕組みの構築を通じ、監査役の機能を有効に活用しながら、経営に対する監督機能の強化を図っています。
ニチレイグループでは、取締役会がその役割・責務を実効的に果たすため、事業経営に関わるそれぞれの分野について、社内外を問わず十分な知識と経験を有する人財で構成される必要があると考えています。会社経営の観点から当社にとって重要と考えられる知識・経験を下記のように定義しています。すべての分野について適切な知見を有することに加えて、当社として特に期待する分野を定めたうえで取締役候補者を選定しています。
ニチレイグループでは、取締役会がその役割・責務を実効的に果たすため、事業経営に関わるそれぞれの分野に ついて、社内外を問わず十分な知識と経験を有する人財で構成される必要があると考えています。会社経営の観点 から当社にとって重要と考えられる知識・経験を下記のように定義しています。すべての分野について適切な知見を 有することに加えて、当社として特に期待する分野を定めたうえで取締役候補者を選定しています。
企業経営 | 企業経営におけるトップとしてのリーダーシップ発揮、多様なステークホルダーを有する上場企業等における経営経験 |
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ESG /サステナビリティ | ESG(環境・社会・企業統治)の推進役としての経験・専門性、ESGや企業の社会的意義・持続性についての価値判断の知見・専門性、企業のサステナビリティ推進に関する知見・経験、多様な人財を継続的に育成するための人財開発に関する経験・専門性 |
グローバル(国際性) | 現地法人のマネジメント等の経験から得た、異文化コミュニケーションスキルおよび海外事業における高い実行力、特定の国・地域における市場・経済・ビジネスに関する知見・専門性 |
イノベーション/ マーケティング |
イノベーション推進に資する知見・専門性、営業・マーケティングに関する経験・専門性 |
企業経営 | 企業経営におけるトップとしてのリーダーシップ発揮、多様なステークホルダーを有する上場企業等における経営経験 |
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財務会計/ファイナンス | 財務報告・監査等に必要な財務会計に関する専門性、企業の資金調達・管理に関する経験・専門性 |
法務/コンプライアンス | 法令遵守・規制対応・内部統制、その他社会から求められる規範・企業行動の推進等に関する経験・専門性、法曹界での経験、品質保証に関する専門性・ネットワーク |
企業経営 | ESG/ サステナビリティ |
グローバル (国際性) |
イノベーション/ マーケティング |
財務会計/ ファイナンス |
法務/ コンプライアンス |
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取締役 | ● | ● | ● | ● | |||
● (低温物流) |
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● (加工食品) |
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● (水産・畜産) |
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監査役 | ● | ● | |||||
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当社は、代表取締役社長の後継者育成計画を、最重要課題の一つと位置づけており、当社グループの企業経営理念に基づいた中長期的な視点で取り組みを実施しています。具体的には、社外取締役が委員長を務める指名諮問委員会にて、選定プロセスに沿って候補者の育成・モニタリング・選定を実施し、十分に審議を重ねたうえで、取締役会へ答申します。
取締役会は指名諮問委員会の答申を受け、グループ役員新体制案の承認、代表取締役社長の決定を行います。
取締役および執行役員の報酬体系は第三者機関の意見を取り入れて設計しており、報酬は基本報酬と賞与で構成されています。基本報酬は、報酬基準表に基づく固定報酬にて支給しています。賞与は、当社グループの業績ならびに各役員が担当する事業の業績予算達成率および個別の定性的評価を基にした業績連動の考え方に基づき、支給しています。社外取締役については固定報酬のみとし、賞与は支給していません。代表取締役社長、常勤監査役と社外取締役を構成員とした報酬諮問委員会を設置しており、原則年1回開催し、報酬制度、報酬水準、報酬の妥当性等について審議の上、取締役会へ答申します。役員報酬については、取締役会で決定しています。 なお、取締役の報酬額と賞与の総支給額は、株主総会において決議された総枠の範囲内としています。
当社取締役の個人別の報酬等の決定方針は、報酬諮問委員会において、毎期、その妥当性を審議したうえで、取締役会にて決定しています。報酬諮問委員会の審議においては、経営環境の変化や株主・投資家の皆様からのご意見等を踏まえるとともに、グローバルに豊富な経験・知見を有する第三者機関より審議に必要な情報等を得ています。
当社は、2022年度からの新中期経営計画「Compass Rose 2024」の開始とあわせて、業績連動賞与の評価指標(KPI)を変更することとしました。具体的には、事業ポートフォリオの最適化と資本効率の向上ならびに株主利益の向上を目的として、従来のREP※1に替えてROICおよび当期純利益を選定するとともに、当社のサステナビリティをめぐる課題への対応を強化することを目的として、新たにESG第三者評価を選定することとしました。その他、役員報酬等の決定方針に関して、特に重要な変更等はございません。
改定前(~2021年度) | 改定後(2022年度~) | KPIの選定理由 |
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連結売上高 | 連結売上高 | 企業規模の拡大 |
連結EBITDA | 連結EBITDA | キャッシュの創出力向上と本業の収益性の向上 |
連結REP※1(経済的獲得利益) | 連結当期純利益 | 株主利益の向上 |
連結ROIC | 事業ポートフォリオの最適化と資本効率の向上 | |
― | ESG第三者評価※2 | サステナビリティをめぐる課題への対応強化 |
ESG第三者評価 | 選定理由 |
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取締役(社外取締役を除く) |
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社外取締役 |
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基本報酬(固定報酬)である「役割給」「取締役手当」および変動報酬である「業績連動賞与」「株式報酬」により構成します。報酬水準は、客観的な報酬市場調査データ(食品・物流業界をはじめとした当社グループとビジネスや人材の競合する企業の報酬水準)等を参考に、当社取締役の職責・員数、および今後の経営環境の変化等を勘案し、第三者機関の意見を取り入れたうえで、適切な金額に設定します。
●社外取締役を除く取締役の報酬の割合の目安
報酬構成要素 | 目的・概要 |
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役割給 | 業務の執行(職務の執行)に対する基礎的な報酬 各取締役の役割の大きさに応じて設定 |
取締役手当 | 経営の意思決定およびその遂行を監督する職責に対する報酬 取締役について一律の金額で設定 |
業績連動賞与 | 毎期の財務目標・戦略目標の達成を動機づける報酬 目標達成時に支給する額(「基準額」)は役割給に対する割合で設定 目標達成度に応じて基準額の0~200%の範囲内で金銭を支給 |
株式報酬 (譲渡制限付株式) |
長期視点・グループ全体視点ならびに株主・投資家視点の経営を促すための報酬 毎期交付する株式の価値(「基準額」)は役割給に対する割合で設定 毎期、基準額相当の譲渡制限付株式を交付し、退任時に譲渡制限を解除 |
基本報酬(固定報酬)のみとします。報酬水準は、各社外取締役に期待する役割・機能を果たすために費やす時間・労力ならびに客観的な報酬市場調査データ(当社と業態や規模が類似する企業の報酬水準)等を勘案したうえで、適切な金額に設定します。
業績連動賞与として個人別に支給する金銭の額は、全社業績、事業業績、個人業績の目標達成状況等に応じて、役職別基準額の0~200%の範囲で変動します。
個人別賞与支給額 = 役職別基準額 × 業績評価係数(0~200%)
業績評価係数 = 全社業績評価係数(a) + 事業業績評価係数(b) + 個人業績評価係数(c)
評価ウエイト | (a)全社業績評価 | (b)事業業績評価 | (c)個人業績評価 | ||||||
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売上高 | EBITDA | 当期純利益 | ROIC | ESG | 売上高 | EBITDA | ROIC | ||
代表取締役 | 100% | - | - | ||||||
10% | 40% | 10% | 20% | 20% | |||||
取締役(事業担当) | 60% | 30% | 10% | ||||||
10% | 20% | 10% | 10% | 10% | 5% | 15% | 10% | ||
取締役(機能担当) | 70% | - | 30% | ||||||
5% | 30% | 5% | 15% | 15% |
取締役の個人別の報酬等に関する事項は、その妥当性と客観性を確保するため、独立社外取締役を中心とした報酬諮問委員会の審議・答申を経て、取締役会において決定します。
2022年度の役員報酬等の額は第105期有価証券報告書に記載しています。
役員区分 | 報酬等の種類別の総額(百万円) | 報酬等の総額 (百万円) |
対象となる 役員の員数 (人) |
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基本報酬 | 業績連動賞与 | 譲渡制限付株式報酬 | |||
取締役(社外取締役を除く) | 110 (210) |
30 (63) |
62 (62) |
203 (336) |
7 (7) |
社外取締役 | 46 | ー | ー | 46 | 6 |
監査役(社外監査役を除く) | 48 | ー | ー | 48 | 3 |
社外監査役 | 32 | ー | ー | 32 | 3 |
合計 | 237 (337) |
30 (63) |
62 (62) |
330 (463) |
19 (19) |
役員区分 | 株主総会決議日 | 基本報酬 | 業績連動賞与 | 譲渡制限付株式 | 役員の員数 | |
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取締役 | 2019年6月25日(第101期定時株主総会) | 2億7千万円以内(うち社外取締役:5千万円以内) | 1億3千万円以内 | 1億円以内 | 7万株以内 | 10(うち社外取締役:3) |
監査役 | 2012年6月26日(第94期定時株主総会) | 1億2千万円以内 | - | - | 5(うち社外監査役:3) |
当社の取締役会は、その実効性を担保するために、必要に応じて外部専門家の支援を受けながら、取締役会の運営状況などに関する分析・評価を行い、その結果の概要を開示することにしています。
評価の実施方法 | 対象者 : 取締役、監査役(計15名) 時期 : 2023年1月から2月 手法 : 外部専門家に委託してアンケートを実施する第三者関与の自己評価方式 |
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2022年度の評価結果 | 発言しやすい雰囲気の中で自由闊達かつ忌憚のない意見交換がなされており、また取締役会での議論をより充実したものとするための取り組みとして、付議事項の年間スケジュールの作成や付議事項の見直しが実施されているなど、全体として取締役会の実効性は相当程度確保されているとの肯定的な意見が多く見られました。 |
抽出した課題 | 評価・意見 | 今後について |
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1.資料および付議基準 | 取締役会における本質的な議論について肯定的な評価を示す意見が見受けられた一方で、取締役会の審議時間が予定よりも超過することが多いとの意見や取締役会の開催回数が多いとの意見があったほか、取締役会での議論の質のさらなる向上を図るべきとする意見もありました。 | 説明内容・資料が多くなりがちな投資案件や出資案件などの重要性の高い特定の議案について、わかりやすい内容となるよう提案部門の意識を促すとともに、取締役会事務局がより深く関与し、取締役会資料の作成段階から支援を行うことで意思決定や監督に必要な情報を整理し、執行サイドに委ねるべき細かな内容は省くなど内容と質を向上させることとしました。また取締役会当日の説明(プレゼンテーション)においては、当該資料に基づいた要点の説明により説明時間を短縮し、十分な審議時間を確保することにしました。取締役会の付議基準については、2023年4月1日付でモニタリング・モデルを志向した見直しを行いました。今後は、その効用を分析し、検討を継続することにしました。 |
2.機関設計 | 現在の監査役会設置会社という機関設計について問題は感じないが、今後継続的に議論を行っていくことが良いとの趣旨の意見が多くありました。 | 現時点では機関設計の変更は必須事項とは考えていないものの、経営戦略、今後の事業環境の変化、コーポレートガバナンス・コードの要請などを踏まえて、引き続き、適切な機関設計に関する議論を行うこととしました。また取締役会が戦略的な議論にさらに注力するという視点においても、現在の監査役会設置会社という機関設計は、個別具体的な業務執行の決定を執行側に委任すること(左記1.の付議基準の見直し)について会社法上の制約があることを踏まえ、モニタリング・モデルをどの程度まで志向するかという観点から、監査役会設置会社とそれ以外の機関設計との比較検討も含めて議論を継続し、必要に応じて取締役会で報告・審議することにしました。 |
3.指名諮問委員会および報酬諮問委員会における議論内容の共有 | 主に委員以外の役員の意見として、取締役会に対して、各委員会からの答申は行われているものの、各委員会における議論の内容が必ずしも共有されていないという趣旨の指摘が複数ありました。 | 取締役会においても諮問委員会の議論の内容を一定程度共有した方が良い面がある一方で、任意の会議体である諮問委員会の議論の自由闊達さが失われる面があることも考えられ、よって、指名諮問委員会および報酬諮問委員会における議論の内容をどの程度取締役会に共有するかについては、指名諮問委員会や報酬諮問委員会において検討していくことにしました。 |
当社は、社外役員と有意義な議論を行うために、取締役会の資料は、会日の3日前までに各取締役および各監査役に配布しています。
なお、独立社外取締役や独立社外監査役の指示を受けて会社の情報を的確に提供できるよう社内との連絡・調整が必要となる場合には、担当秘書が窓口となり、社内の関連部署と必要な連携が取れるようにしています。
取締役または監査役が新たに就任する際は、会社法およびその他の関連法令、経営戦略、財務分析などに関する研修を必要に応じて行い、就任後も法改正や経営課題に関する研修を適宜実施します。また、社外役員に対しては、当社グループの事業概況の説明や主要拠点の視察を必要に応じて実施します。
政策保有株式については、取引・協業関係の維持・強化などを通じて当社の企業価値向上に資すると判断した場合のみに保有します。また、取締役会で毎年、個別の政策保有株式について中長期的な経済合理性などを検証し、保有意義が薄いと判断する株式は売却します。検証にあたっては、取引上の利益・配当金等の便益やリスクが資本コストに見合っているかを個別に精査したうえで、戦略的な重要性などの定性的評価も勘案し総合的に判断します。
政策保有株式の議決権行使については、すべての議案内容を確認し、投資先企業が次のいずれかの項目に該当する場合には、個別に精査したうえで判断します。
(1)株主価値の毀損につながる行為がある場合
(2)業績や株価が著しく悪化している場合
(3) その他議案に賛成することに重大な疑義がある場合