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食と健康における新たな価値創造

基本的な考え方

ニチレイは2023年7月、マテリアリティ「食と健康における新たな価値の創造」のありたい姿を「素材や冷力の可能性を見出し、食を通じて地球の未来と人々の“こころ”と“からだ”の健康に貢献している」と改訂しました。それに伴い、グループ施策とKPIも見直しを行いました。
健康については、栄養に配慮した商品開発を強化するとともに、精神的かつ社会的な健康、つまり“こころ”の健康にも取り組み、ウェルビーイングの実現に貢献していきます。さらに未来の地球環境に向け、ネガティブなインパクトを最小化するだけでなく、先端技術の活用や資源保護の取り組みにより、ポジティブなインパクトを与える取り組みを強化していきます。

株式会社ニチレイ 経営企画部, 株式会社ニチレイ 品質保証部, 株式会社ニチレイ 技術戦略企画部, 株式会社ニチレイ 経営監査部, 株式会社ニチレイ 事業経営支援部, 株式会社ニチレイ 法務部, 株式会社ニチレイ 人事総務部, 株式会社ニチレイ 財務IR部, 株式会社ニチレイ 経理部, 株式会社ニチレイ サスティナビリティ推進部, 株式会社ニチレイフーズ, 株式会社ニチレイフレッシュ, 株式会社ニチレイロジグループ本社, 株式会社ニチレイバイオサイエンス, 株式会社日立フーズ&ロジスティクスシステムズ, 株式会社ニチレイビジネスパートナーズ

取り組みの状況

ニチレイ流「新たな価値の創造」の仕組みづくり

持続的に新たな価値を創造し、将来の事業を生み出すための仕組みの1つとして、2020年から社員であれば誰でも新規事業に挑戦できる“ニチレイアクセラレーションプログラム「MinoruN(みのるん)」”を開始しました。全従業員から事業アイデアを募集・選抜し、事業化を推進する取り組みです。新規事業の経験がない社員でも事業アイデアを提案できるよう、ビジネスモデルの構築に必要な知識や顧客ニーズの探索方法などを学べるスキルアッププログラム、アイデア創発のためのワークショップなども備えています。

ニチレイアクセラレーションプログラム「MinoruN」

年に1回アイデアを募集し、審査を通過したテーマは、3段階で検証活動を行い、事業化を目指します。まずフェーズ1では想定顧客へのヒアリングを徹底的に行い、顧客価値の確認を行います。次のフェーズ2では、実際にプロトタイプをつくり、商品・サービスの実現性の確認と、そのプロダクトで顧客の課題を解決できるかを検証します。最後のフェーズ3では実際に小規模でテスト販売を行い需要性の検証を行います。もし検証結果が想定どおりにいかなくても1つ前のフェーズに戻って検証活動をやり直すことを“よし”としており、このサイクルを小さく速く回すことで事業化の確率を高めていくことができると考えています。まだ事業化に至ったテーマはありませんが、プログラムに参加することで「新たな価値」を推進できる人財も育成されています。

「MinoruN」から生まれる新規事業

「みらいくら」(魚卵状食品)の開発

2021年に採択され、現在需要検証中のテーマとして魚卵状食品「みらいくら」があります。昨今の地球環境の変化により、天然資源であるいくらや筋子などの魚卵原料の調達にも影響を及ぼしており、将来における持続的・安定的な調達へのリスクは避けられない状況です。このような課題に対するニチレイフレッシュ水産事業部を中心としたメンバーの思いが発端となってアイデアが生まれ、食品物性の知見を持つ技術部門や、魚卵加工品に関する生産技術力を持つ(株)フレッシュまるいちの支援を受けて商品開発を行っています。
フェーズ1で顧客価値を検証したところ、コレステロールが含まれていないため健康に気遣っている方や魚卵アレルギーを持つ方にも日常的に召し上がっていただけることがわかりました。また、動物性原料を使っていないため、ヴィーガン志向の方向けにも新しい食材としてお使いいただけると思っています。近い将来、持続可能で健康に配慮した新たな食の選択肢として国内だけでなく北米なども視野に入れ、世界中の食卓にお届けできるよう検証を進めていきます。

  • 「みらいくら」 「みらいくら」
  • ニチレイフレッシュの社内表彰制度「海と大地と人をつなぐニチレイフレッシュAWARD」で「社長賞」を受賞。新たな分野への挑戦が評価されました。 ニチレイフレッシュの社内表彰制度「海と大地と人をつなぐニチレイフレッシュAWARD」で「社長賞」を受賞。新たな分野への挑戦が評価されました。
  • SKS JAPAN 2023で「みらいくら」のピッチを行い、国内外のフードテック関係者から高い関心が寄せられました。画像提供:SKS JAPAN https://food-innovation.co/sksjapan/sksj2023 SKS JAPAN 2023で「みらいくら」のピッチを行い、国内外のフードテック関係者から高い関心が寄せられました。
    画像提供:SKS JAPAN
    https://food-innovation.co/sksjapan/sksj2023

健康や持続可能な素材に取り組む新たなビジネスモデル

食の好み分析に基づくデータサービス事業を推進
~献立自動生成アプリ「me:new(ミーニュー)」~

働き方の変化や女性の活躍、超高齢社会の進展などにより「家庭内における食事の準備にかける時間は短縮したい」という生活者ニーズは高まっています。一方で、栄養バランスや食物アレルギーなど健康に配慮した食事を摂りたいというニーズも高まってきており、多くの生活者が日々の献立づくりに苦労しています。これらの課題を解決するため、ニチレイは2021年8月、献立自動生成アプリ「me:new(ミーニュー)」を持つ株式会社ミーニューの全株式を取得し新規事業として自社開発したアプリ「conomeal kitchen」とサービスを統合、AIによる食提案サービス事業に参入しました。「me:new」は最長1週間分の献立をまとめて作成するアプリで、主に小さい子どもがいる家庭に向けて、親と子どもが一緒に食べられるレシピや、アレルギー対応のレシピを提案するといった特徴がありBtoCだけでなくBtoBのニーズも高まっています。今後は食の好みやおいしさの研究に基づくデータサービス事業という新たな価値提供にも取り組んでいきます。

me:new(ミーニュー)

新たなブランドステートメント「おいしさと健康をわかちあえる世界へ ーFoodJoy Equityー」

ニチレイフーズではあらためてブランドステートメントを策定しました。おいしさを大切にした健康価値の提供を行うこと、そしてフードロス削減に寄与する保存性などの冷凍の価値を存分に活かし、「わかちあえる」よりよい世界を目指すことへの想いを込めました。FoodJoyは「冷凍食品がもたらす喜び」を、Equityは「一人ひとりに合わせた価値をお届けし、皆が公平になる」つまりは「わかちあう」を意味しています。
また、ステートメントの実現に向け、事業活動を通じて「4つのわかちあう価値」を高めていきます。これらの価値を高め、生活者だけではなく、私たちに関わるすべての人と社会が冷凍の利便性を享受できる事業へと発展させていきます。

  • 新たなブランドステートメント「おいしさと健康をわかちあえる世界へ ーFoodJoy Equityー
「健康価値食肉」事業の推進

ニチレイフレッシュでは、健康価値を高める食肉の研究と開発を進めています。α-リノレン酸を含む亜麻仁あまにの成分を配合した飼料を鶏・豚・牛に与えることで、α-リノレン酸を多く含み、肉質が柔らかく、脂の口どけが良い食肉を開発、「亜麻仁の恵み」シリーズとして販売しています。
また、新たな「健康価値食肉」として、飼料にごまを配合することで、本来食肉からは摂取できないごま由来の機能性成分であるセサミンを含む豚肉である「ごまんてん」の販売も本格的に開始します。 ニチレイフレッシュは、日常の食シーンで多く登場する食肉を通じて、健康管理や食バランスのサポートに貢献していきます。

※ 牛については個体差があります。

  • 亜麻仁の恵み<sup>®</sup>写真 亜麻の花・種子
  • 100gから摂取できるオメガ3系脂肪酸(α-リノレン酸)の量の比較

    ごまんてん

支える基盤 栄養への取り組み

“栄養過剰と栄養不良の二重負荷”という健康課題を解決すべく、栄養への取り組みを強化していきます。過剰摂取が懸念される成分は過剰摂取せず、摂取が推奨されるものは推奨量摂取できることを担保する目標の策定に向け、厚生労働省の「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」への参画などを通した取り組みを進めています。

動物性の肉を一切使用しない代替肉 大豆ミート

ニチレイフーズでは、冷凍食品の新たな挑戦として、サステナブルな社会実現へ向けた代替肉の商品開発を進めています。肉を使わずにおいしさ、肉らしさを再現するため、大豆の先進的な研究をしているDAIZ社の独自技術から作られる発芽大豆を原料とした大豆ミートに、さまざまな種類の大豆ミートを独自に組み合わせ、さらに当社が培ってきたおいしさの再現ノウハウ、技術を融合させることで健康感とおいしさを両立した商品となりました。

アセロラの新たな効果の可能性

アセロラビタミンCの高い体内吸収力に関する研究で、当社のアセロラ果実粉末およびアセロラ果汁が腸内由来の微生物へ与える影響について解析を行いました。
その結果、ヒトの腸内由来の微生物に、アセロラ果実粉末やアセロラ果汁を与えると、ビフィズス菌などの有益な腸内細菌のみならず、体に良い成分として知られる酢酸や酪酸などの代謝物質も、増加していることが認められました。
今後は、より発展的な研究を行い、結果を深掘りすることで、さらなるメカニズムの解明や、新たな研究開発、商品開発への活用が期待されます。生活を豊かにする食に科学的な視点からアプローチし、より良い健康社会の実現を目指します。

コンパニオン診断薬 個々にあわせたがん治療のための診断薬の提供

ニチレイバイオサイエンスは、患者さん一人ひとりの体質や病態にあった適切ながんの治療法や医薬品の選択をするための「コンパニオン診断薬」を、2014年に日本で初めて承認を受け、製造販売を開始しました。これまで培ってきた免疫関連技術により、効果が高く副作用の少ない適切な治療法や医薬品の選択を実現する個別化医療の発展に貢献しています。

  • コンパニオン診断薬 ヒストファインALK iAEP®キット
遺伝子検査装置の専門診断薬が、大腸がんを対象とするコンパニオン診断薬として薬事承認を取得

ニチレイバイオサイエンスでは、当社提携先であるBiocartis GroupNVが開発した遺伝子検査装置の専用診断薬の日本での普及を図っており、2022年および2023年に、専用診断薬を用いた体外診断用医薬品2品目について、それぞれ大腸がんの治療に用いる分子標的薬の コンパニオン診断薬として製造販売承認を取得しました。これは、従来外注することが多かったがんの遺伝子検査を患者さんが受診する医療機関内で完結させることを可能とする画期的なものです。検査結果が得られるまでの時間(Turn Around Time)を短縮することにより、がん診療に新たな価値を提供していきます。

  • 遺伝子検査装置の専門診断薬が、大腸がんを対象とするコンパニオン診断薬として薬事承認を取得

新技術の開発

独自技術を活用した電子レンジで温めても冷たく仕上がる「個食麺」の発売開始

ニチレイフーズは電子レンジ調理が可能な個食麺の第一弾として家庭用冷凍食品「冷やし中華」を開発し、2022年3月に発売しました。電子レンジは、食品に含まれる水分子をマイクロ波で振動させて加熱しています。氷は水分子が結合しており、マイクロ波の影響が小さいため溶けにくく、一方で冷凍麺は氷よりも水分子が点在しているため温まりやすいといった性質を持っています。このような食品ごとの特徴の差を応用し、「電子レンジで冷たい麺に仕上がる」という独自技術を開発しました。本商品は構想から約5年、具現化するまで約3年かかっての商品化となりました。業界初となる氷の特性を利用するという発想は、冷凍食品を長年研究し続けてきた、当社ならではのものであったと自負しています。

  • 特許申請済

2022年の秋には、第二弾として「極太つけ麺」を発売します。こちらも氷を使用した独自技術で、麺は冷たく、スープは温かく仕上がります。また、全粒粉を使用した自家製極太麺と、濃厚魚介豚骨味のスープが特長となっています。
これらの商品の開発は、調理や食事を家庭外に依存するライフスタイルの定着に加え、単身世帯の増加による「パーソナルユース需要」(1人前規格の主食・主菜や片手で食べられる軽食メニューの需要)が増加していることが背景にあります。このような社会背景を受けて、山形県天童市のニチレイフーズ山形工場では、約40億円を投資し、パーソナルユース需要向けの商品の生産を目的に冷凍個食ラインを導入。2022年2月から稼働を開始しました。今後も伸長が見込まれるパーソナルユース需要の対応や巣ごもり消費の取り込みにつなげていきます。

株式会社ニチレイ 経営企画部, 株式会社ニチレイ 品質保証部, 株式会社ニチレイ 技術戦略企画部, 株式会社ニチレイ 経営監査部, 株式会社ニチレイ 事業経営支援部, 株式会社ニチレイ 法務部, 株式会社ニチレイ 人事総務部, 株式会社ニチレイ 財務IR部, 株式会社ニチレイ 経理部, 株式会社ニチレイ サスティナビリティ推進部, 株式会社ニチレイフーズ, 株式会社ニチレイフレッシュ, 株式会社ニチレイロジグループ本社, 株式会社ニチレイバイオサイエンス, 株式会社日立フーズ&ロジスティクスシステムズ, 株式会社ニチレイビジネスパートナーズ